はじめに ~災害大国の日本
日本は、全世界の陸地の0.25%しかない非常に小さな国である。しかし、災害という点で考えた場合、世界にある活火山の7%があり、M6以上の地震は世界で発生する20%以上が日本で発生している。その他の台風や水害を入れれば、まさに災害大国と言えるだろう。そして、事業継続という観点で見た場合、我国は非常に深刻な脆弱性を抱えている。事実、日本は国を挙げて防災・減災に力を注いできたが、どんなに災害を防ごうとしても、自然の力には及ばない。災害が起こるたびに復旧、再開が遅れ、その企業だけでなく社会、顧客(国内外)に多大な影響をもたらしている。その典型的な影響は、SCM(サプライチェーン)に現れ、日本国内だけでなく海外企業を含むグローバル規模に及ぶ。
防災対策と事業継続管理
そもそも防災対策とは、組織における従業員の人命や建物・機材・情報(資産)を予め守ることを目的とした取り組みである。応急対応の取り組みとしては重要であるが、企業経営にとっては、それだけで十分ではない。天災(地震・台風など)や人災(テロや事故など)の危機が発生したときに、企業に問われるのは、その企業が危機に直面したときであったとしても、事業を遂行(継続)するという社会的使命を果たせるかである。一方、事業継続管理(BCM:business Continuity Management、以下BCMと略)は、様々な脅威による事業中断時、企業の必須事業を目標とする時間内に復旧し、事業を継続、サバイバルすることである。経営的立場で言えば、事業で最も大切なものは顧客である。よって、事業が中断した場合、顧客の要望する時間内に復旧できず、製品やサービスが提供出来なれれば、おそらく顧客は他の業者に移るであろう。そうなれば、事業そのものが継続できなくなる。したがって、BCMは、事業をサバイバルする経営そのものだと言える。
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