
経営者の半数以上が事業承継の選択肢として「社内承継」を検討
経営において、事業承継は企業の未来に関わる重大な局面だ。特に中小企業経営者の高齢化は深刻化しており、帝国データバンクが2024年に実施した調査『中小企業白書(2024)』によると、経営者年齢のピークは直近20年間で50代から60~70代まで上昇しているという。そうした状況の中、経営者は自社の事業承継や後継者について、どのように考えているのだろうか。はじめにM&Aサクシードが、「将来的に社長を引退する場合、会社はどうするか?」と尋ねると、最多となったのは「社内承継」で、51%と過半数が選択した。以下、「親族内承継」が27%、「第三者承継(M&A)」が23%と続いている。この結果に対して同社は、「かつては中小企業にとって、M&Aは馴染みの薄いものであり後ろめたいという感覚がある経営者も多いと言われていたが、近年M&Aは増加傾向にあり、中小企業にもM&Aが浸透してきている」との見解を示している。

「M&A」を検討する経営者の8割以上が準備を進められていない
次に同社は、前質問で“社内承継”、“親族内承継”、“M&A”を選択した人に対し、各承継方法についての「検討状況」を尋ねた。すると、「社内承継」を選択した人のうち約3割、および「親族内承継」を選択した人のうち約4割が、承継に関する具体的な行動を行っていないことがわかった。さらに「M&A」を選択した人においては、8割以上が具体的な行動ができていない状況だった。同社はこの結果を受け、「一般的なM&Aプロセスでは、提出書類の準備や契約をしてからでないと譲受企業の有無がわからないため、本格的にM&Aを検討する前のタイミングではハードルが高い状況にある」としたうえで、「M&A=経営の可能性を広げる手段ではなく、会社存続の『最終手段』として検討する人が多い」と推測している。
「廃業」を検討する理由として6割弱が“後継者不足”と回答
続いて、1つ目の質問で「廃業」を選択した人に対し、「その理由」を尋ねた。すると、「後継者がいないため」との回答が57%で、2位と2倍以上の差をつけてトップとなった。以下、「ビジネスモデルの限界を感じているため」が23%、「経営環境の悪化による業績不振」および「市場の縮小や競争の激化」が19%で続いている。
約6割の経営者が「年齢」や「健康上の問題」をきっかけに事業承継を検討
最後に同社は、「社長引退や会社の引継ぎについて検討したきっかけ」を尋ねた。すると、58%と6割に迫る人が「年齢や健康上の問題が生じた時」と回答し、最多となった。経営者の高齢化が進む中、自身の加齢などによる健康上の問題が生じてから、事業承継について検討を始める経営者も多いようだ。