「2名以上の社外取締役選任」は、資質についても問われる
コーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則のうち、企業の経営戦略に最もダイレクトにかかわってくるのは「取締役会等の責務」という4つ目の基本原則。上場会社の取締役会は、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るため、次のような役割・責務を適切に果たすべきであるというのがその内容だ。(1)企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2)経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3)独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
そして、この「基本原則」の下に14の「原則」があり、「原則」の下にさらに19の「補充原則」がある。中でも注目度が高いのは、上場会社は資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきであるとする原則(原則4ー8)だろう。
それも、ただ人数を揃えればいいということではない。取締役会は、取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を独立社外取締役の候補として選定するよう務めるべきである(原則4ー9)とされているから、社会的な地位が高くても実質的な能力が十分ではなさそうな人物を「お飾り」的に登用するわけにはいかなくなる。
取締役会のメンバーを「なぜ、どのように選んだか」開示が必要
そもそも、「取締役会のメンバーに誰を選ぶか?」についての見直しも必要だ。取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性、規模に関する考え方をまとめ、取締役の選任に関する方針・手続きとあわせて開示すべきであるとされている(補充原則4ー11(1))。要するに、性別も専門分野も経験も多様な人物を、「なぜ、どのように選んだか」、外に向けて説明できなければいけないということだ。こうなると、多くの企業で「次はこの人あたりを取締役に」といった情実人事が減り、取締役会の構成が変わってくるだろう。
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