「ミドル」を切り口に、様々な組織でチャレンジしているビジネスパーソンに、ミドル層の役割やあるべき姿、課題などに焦点を当てながらお話を伺い、組織づくりのヒントをお届けしていく本連載(※)。第4回目は、経済産業省から出向し関西の民間企業でDX推進をリードしている出光 啓祐氏にインタビューを行った。出光氏は、DX推進に向けて、働き方や仕事の進め方にもフォーカスしたプロジェクトを立ち上げ、会社全体の組織変革を進めている。本記事では、複数の他部署と連携しながらDXを推進する出光氏から見た、人を巻きこむうえでのポイントや多様な人材との向き合い方などを中心にお届けしていく。

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プロフィール

  • 出光 啓祐 氏

    出光 啓祐 氏

    関西の民間企業(経済産業省より出向)
    DX企画部 副課長

    2009年、経済産業省入省。資源エネルギー庁、経済産業政策局を経て、2018年より英国留学(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)。2020年より、商務情報政策局にてデジタル市場環境に関する政策を担当。2021年12月より関西の民間企業に出向し、全社のDX推進を担う。

  • 三浦 孝文 氏

    三浦 孝文 氏

    オイシックス・ラ・大地株式会社
    経営企画本部 経営企画部 部長

    大分県別府市出身。関西学院大学を卒業後、(株)D2C、クックパッド(株)での人事経験を経て、2017年1月より現職入社。HR本部人材企画室の責任者を経て、現在は経営企画本部内にて全社の中期経営計画や各部門の年度戦略の策定支援、経営にひもづく会議体の事務局など、マネジメントシステムの進化・仕組みづくりを担当。社外では兼業で(株)GlocalKの組織経営アドバイザリー、人事コミュニティ「人事ごった煮会」の発起人。

Ep.4:多様な人材とわかりあうための「前提の共有」と「理解や共感をつくる対話」

DX推進と会社全体の組織変革をリード

三浦氏:本日はよろしくお願いします。出光さんは、これまでどのような経歴を積まれてきたのでしょうか。

出光氏:こちらこそよろしくお願いします。私は2009年から10年余り、経済産業省でキャリアを積んできました。省内全体を取りまとめたり、エネルギー政策を担ったりする部署を経験した後、産業人材政策を担う部署へ異動し、そこで働き方改革や人材育成、HRテクノロジーを活用した生産性向上、兼業副業など、働き手が活躍でき、企業のメリットになるような政策を立案してきました。そのような分野に携わっていくなかで、デジタルスキルの必要性を徐々に感じるようになり、ロンドンに2年間留学し、DX関連の修士号を取りました。その後、2020年に帰国し、引き続き経済産業省のデジタル関連の部署で政策立案を担っていました。

今は関西の民間企業に出向し、DX推進をミッションとする部署に従事しています。DXと言ってもデジタル関係だけでなく、推進に向けて人事部や企画部、広報部などと連携しながら、働き方や仕事の進め方にもフォーカスしたプロジェクトを立ち上げて会社全体の組織変革を進めています。

三浦氏:そもそもファーストキャリアとして、なぜ経済産業省を選んだのでしょうか。

出光氏:私は出身が長崎市で、当時、造船業が衰退してきて元気がなくなっていく街をどうにかできないのかなと課題意識を持っていました。大学時代はそれを頭に置いていろんな民間企業を回って就職活動をしてみたんですけど、やっぱり私の頭の中にある課題にダイレクトに対応するには、公務員という立場が一番合っているのではないかと気づきました。自治体という選択肢もあったのですが、権限がどうしても限られるところがあります。経済産業省なら、いろんな政策を組み合わせて課題に対応していけるのではと思いました。

三浦氏:そうだったんですね。今改めて振り返ったときに、その選択をして良かったと思われますか。

出光氏:そうですね。他の省庁と比較してみても、経済産業省は新しいことをどんどん立ち上げていく特徴があるので、課題に対して多くの打ち手を打つことができます。積極的に企画立案をするスタンスやスキルが身についたことが、この十数年のキャリアの中で1番大きかったです。

三浦氏:国に関わる仕事は、どうしても問題解決までの時間軸が長く設計される印象があるのですが、変化の速い世の中との兼ね合いでギャップを感じることはありますか。

出光氏:そうですね、今この瞬間の判断と20年後や30年後の判断は必ずしも一致しないので、中長期目線で国全体のことを考える必要がありました。その中で、例えばエネルギー政策だと5年前の知識がもう使えないということはあまり無いのですが、デジタル関係はそのスパンがかなり短くなってきています。世の中は目まぐるしく変わっているので、常に知識のアップデートをしていく必要性があると肌身で感じています。

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