【前回の記事】
※第2回:3つの公式から考察する「スター社員」を形成する要素とは
【再掲】「スター社員」の形成に関する(暫定的な)3つの公式
人々を大きく成長させる4つの経験
リーダーシップ開発研究の金字塔といえるのが、米国ノース・カロライナ州に拠点を置く国際的なリーダー育成機関(非営利組織)、センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ(以下CCL)による一連のプロジェクトです。これは、米国企業6社に所属する「成功している」経営幹部191名を対象に、キャリアにおいて自身が「量子力学的に成長した経験(quantum leap experience)」を3つ以上語ってもらい、合計616の「量子力学的な成長経験」を抽出するという、大規模なプロジェクトです。抽出された経験のリストは、元CCL幹部であり現在は南カルフォルニア大学に所属しているモーガン・マッコールによる著書『The Lessons of Experience』(未邦訳)や、『High Flyers』(邦訳は『ハイ・フライヤー』プレジデント社)などに、集約された形でまとめられています。また我が国においては、この調査の日本版が、神戸大学(当時。現在は立命館大学)の金井壽宏先生と関西経済連合会の共同による「一皮むけた経験プロジェクト」として行われており、著書『一皮むけた経験(光文社新書)』の中にその成果がまとめられています。表1をみれば、両国の「ハイ・フライヤー(空高く飛ぶ鳥のように、周囲の人々よりも高い成果を出し、かつそれを維持している人)」たちがくぐり抜けてきた経験には、かなりの程度、オーバラップがあることがよくわかると思います。
(1)業務上のアサインメントに関わるもの
(2)他者との繋がりによってもたらされるもの
(3)特定の業務そのものではなく、業務(あるいは業務以外の個人的な部分)において遭遇する失敗やミス、不遇、トラウマや不快感といった修羅場というべき経験
(4)研修プログラムなどその他の経験
それぞれのカテゴリーには、「初期の仕事経験」「最初の管理経験」といった、様々な具体的経験が含まれています。私たちの調査においては、このリストを出発点として、サイバーエージェントのスター社員たちがこれらのうちどれを経験しているか、また、このリストにはないどのような経験をしているか、ということを調べました。
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