このような問題意識から、株式会社サイバーエージェント及びその関連会社の協力を得ながら、私たちが進めてきたのが『スター社員の生態プロジェクト』です。多くの革新的な人事施策を生み出すだけでなく、純粋な日本企業にあって、私たちが定義するような意味でのスター社員を多数輩出している同社。この企業を調べることによって、他の日本企業にとっても参考になる知見が得られるのではないか、と考えたのです。
【前回の記事】
※第1回:欧米の研究者は、「スター社員」をどのように捉えているのか?
「スター社員」生態プロジェクトとは
このプロジェクトは、(1)人事部門マネジャーへのインタビュー、そして(2)彼(女)らが「スター社員」とみなす複数の社員へのインタビュー、を中心としたものになります。インタビューは、まず、人事部門マネジャーに対して、「優秀な人材についての考え方」に関する話を伺うところからスタート。その後、スター社員についての私たちの定義(つまり、「例外的に高い成果をあげ、かつ広く内外労働市場におけるビジビリティ(顕在性)を獲得している個人」)を詳細に説明し、それに該当する社員を複数名抽出・推薦してもらい、今度はその社員たちに対してインタビューを実施する、という流れで進めていきました。インタビュー中での語りは、インタビュー終了後、出来るだけ早い段階で全て文字化、データ化し、そのデータに対して私たちは、「グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory Approach」」という方法を用いて分析を行いました。この方法の具体的な中身については、戈木クレイグヒル滋子著『質的研究法ゼミナール第2版: グラウンデッド・セオリー・アプローチを学ぶ(医学書院)』などを参照していただきたいのですが、簡単に言えば、調査者(である私たち)が読んだ文献などの影響をできるだけ排して、現場で起こっていること、人々が語ることの中身から、虚心に、帰納的に理論を生成することを目指す方法、ということになります。
現在進行形のプロジェクトであり、まだ確定的なことは言えないのですが、現時点で既に、いくつかの重要な知見を得ることができています。今回と次回、そして次々回において、その一部を、お届けしたいと思います。
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