3月1日、政府主導の就活ルールでも会社説明会が正式に解禁となったほか、各就職ナビも2023年卒向けの採用情報の掲載とプレエントリーの受付を開始しました。といっても、プレエントリー先は事前に登録(予約)が済んでいますので、日付が変わるとともに、学生が一斉に就職ナビに殺到する姿はなくなりました。そのため、深夜に就職ナビにつながりづらくなるような現象は、ここ何年か遭遇することはなくなっていました。
「ターゲット層の変化」の要因は「事業変革に伴う人材要件の変化」が最多
さて、今回も前回に引き続き、HR総研が2021年12月に企業の採用担当者を対象に実施した「2022年&2023年新卒採用活動動向調査」の結果を見ていきたいと思います。まずは、社会情勢や企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、「ターゲット層となる学生の条件に変化が出てきているか」という設問に対する回答結果からです[図表1]。全体では、「大きく変化してきている」4%、「やや変化してきている」23%を合計した26%の企業が「変化してきている」(以下同じ)と回答しているものの、「まったく変化していない」が10%、「あまり変化していない」42%、合計すると52%と過半数の企業が「変化していない」(以下同じ)と回答しており、「変化してきている」の2倍となっています。
大企業と中堅企業では「変化してきている」とする割合は32~33%と同程度ですが、中小企業では20%と、大企業や中堅企業に比べるとターゲット層の変化の動きは強くないことがうかがえます。中小企業では、ターゲット層がどうかということよりも、そもそも採用自体に苦戦している企業が多いということも影響しているのではないかと推測されます。
次に、ターゲット層が「変化してきている」と回答した企業に対して、変化してきている主な要因を聞いた結果が[図表2]です。グラフは「全体」の数値の降順で並べてあります。最も多かったのは「事業変革に伴う人材要件の変更」で46%、次いで「入社後のミスマッチ防止対策」32%となっており、「DX推進等による理系人材のニーズ増加」と「オンライン採用による地域間格差の解消」がともに17%、「ダイバーシティ推進による多様性重視」が14%となっています。
企業規模別に見ると、幾つか回答の差異が見受けられます。大企業では、全体とほぼ同様の傾向となっていますが、「ダイバーシティ推進による多様性重視」が17%で、「オンライン採用による地域間格差の解消」の11%を上回る結果となっています。中堅企業では、「事業変革に伴う人材要件の変更」が60%と突出しており、「入社後のミスマッチ防止対策」は15%にとどまり、代わりに「オンライン採用による地域間格差の解消」が20%で2位になっています。中小企業では、「事業変革に伴う人材要件の変更」も41%と多いものの、「入社後のミスマッチ防止対策」が44%でそれをさらに上回り、最多となっています。中小企業では、もともと採用数が少ない中でのミスマッチによる離職リスクを重く見て、防止対策に力を入れる企業が多いことが推測されます。