2021年12月8日、採用学研究所が設立8周年を記念したオンラインセミナー「Researchers’ View」を実施した。コロナ禍によってオンライン化が進み、採用や面接の手法を変えるなど、多くの企業が変化に適応すべく次の一歩を踏み出したと言える2021年。本セミナーでは、研究員4名がそれぞれ異なる切り口から変化に満ちた2021年の振り返りと、今後の展望を行った。以下、講演内容を前編(※)・後編に分けてダイジェストでお伝えする。後編は神谷俊氏と服部泰宏氏の講演を取り上げる。



プロフィール

  • 神谷 俊 氏

    神谷 俊 氏

    採用学研究所 研究員(株式会社ビジネスリサーチラボ フェロー)

    法政大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、経営学修士。株式会社ビジネスリサーチラボにて調査・研究「アカデミックリサーチ」を推進する一方、多様な組織に在籍し、独自のキャリアを展開。自身では株式会社エスノグラファーを経営するほか、2020年4月からは、リモート環境における「職場」の在り方を研究する“Virtual Workplace Lab.(バーチャルワークプレイスラボ)”を設立。2021年『遊ばせる技術 チームの成果をワンランク上げる仕組み』を日経BP社より刊行。学術的な知見を基盤に「分断・分散」を前提に機能する組織社会の在り方を構想する。



  • 服部 泰宏 氏

    服部 泰宏 氏

    採用学研究所 客員研究員(神戸大学大学院経営学研究科 准教授)

    2009年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了(経営学博士)。滋賀大学経済学部専任講師、准教授、横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授を経て現職。「組織と個人の関わりあい」をコアテーマに、人材の採用に関する研究,人事評価や社内の評判に関する研究,圧倒的な成果をあげるスター社員の採用・発見・育成と特別扱いに関する研究などに従事。著書に『採用学』(単著、新潮社)、『日本企業の採用革新』(共著、中央経済社)、『組織行動論の考え方,使い方』(単著、有斐閣)、『コロナショックと就労』(共著、ミネルヴァ)など。

採用学研究所の神谷俊氏と服部泰宏氏が2021年の採用を振り返り、2022年を展望する――採用学8周年記念セミナー【後編】

「地元志向」をつくるネットワーク構造から見えてくる、キャリアデザインの課題

株式会社エスノグラファー 代表取締役/株式会社ビジネスリサーチラボ フェロー/採用学研究所 研究員 神谷 俊氏

地方採用に関する調査で明らかになった「地元志向」と「都市部志向」の学生の違い

私からは「地元就職をつくるネットワーク」というテーマで、お話をさせていただきます。私が代表を務めております株式会社エスノグラファーは人事・組織に関する調査ビジネスを行っています。2021年を振り返ってみると特徴的だったのは「地方採用を考えたいので、地方の採用市場を知りたい」「地方学生のキャリア志向を明らかにしたい」という依頼です。本日は、そのなかから学生の地元志向に関する調査結果を皆さんと共有しながら、私が感じた問題意識などをお話いたします。皆さんといろいろ考えていければと思います。

前提として、地方採用への関心が高まっているのには、いくつかの理由が考えられます。2021年12月現在において、新型コロナが一旦の落ち着きを見せています。それによって採用にも復調の兆しがでてきた。さらに、オンラインリクルーティングが普及してきた。そういった背景から地方市場へのアプローチを図る企業が増えているようです。とりわけIT系など、人材不足に悩む企業では、首都圏だけでは人材が賄えないことから地方市場に目を向けるようになっています。

今回お話しするケースは、IT系X社で実施した調査ケースです。X社はIT系の人材不足から採用枠の拡充を図り、全国の採用拠点から文系・地方学生の採用に注力しています。しかし、地方学生の意欲を高めることに問題意識を感じていることから、私たちに調査の依頼が来ました。そこで内定者・内定辞退者にアンケートやインタビュー調査を実施してみると、「地元で働きたい」という“地元志向”がボトルネックになっていることが判明したわけです。

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に、特典資料をプレゼント!

HRプロとは

この記事にリアクションをお願いします!