早期離職の一番の原因は「上司のマネジメント・指導に対する不満」
稲垣:では、早速ですが調査の概要について教えてください。上崎:はい。本調査は、 「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査」というテーマで、外国籍人材の離職とモチベーションダウンの実態を把握し、受け入れで工夫するべきポイントを明らかにする目的で実施しました。日本での在留・就労経験のある外国籍人材を対象に、2021年8月に調査をおこない、最終的に61ヵ国477名の回答を得ています。
稲垣:国籍や在留資格など、バランスよく様々な方々からの回答が取れていますね。今回はこの全体レポートの結果共有ですね。
上崎:はい。現在、「技人国」と「技能実習生・特定技能」に分けたレポートを作成しておりますが、今回は日本で働く外国籍人材の全体を捉えていきたいと思います。
上崎:はい。今回はその現状と原因を研究したわけですが、その仮説は正しかったと考えられます。まず、「日本で就労する中で、入社後1年以内の離職を経験したことがありますか」という問いに対して、約3割が「入社後一年以内に離職を経験している」という実態です。また、「離職したかったが、制度や契約にしばられてできなかった」と回答されている方が16%おり、これを合わせると実に44%という数字になります。さらに、「離職をした半数以上の早期離職は、入社半年未満で発生している」という結果も見逃せません。
上崎:早期離職の原因は、「上司のマネジメント・指導に対する不満」が最も多く、次いで「業務内容のミスマッチ」、「給料が安い、残業代が支払われない」、「職場の人間関係に対する不満」など原因は多岐に渡ることが分かっています。求職者も企業も、もちろん早期離職は望んでいません。ここは原因と向き合って改善を図っていきたいところです。
モチベーションダウンからの回復は、本人の「適応力」がカギ
稲垣:今回の調査では、「入社後1年以内に大幅に労働意欲が低下するモチベーションダウンを経験したことがあるか」という質問もしていますね。結果はどうですか?上崎:はい。こちらも回答者の53%が「入社後1年以内にモチベーションダウンを経験」しており、なんと「入社後3ヵ月以内にモチベーションダウンが発生」したケースは約3割という結果でした。
上崎:「上司のマネジメントに対する不満」が49%と最多。「外国人に対しての差別・偏見がある」、「職場の人間関係に対する不満」、「業務内容のミスマッチ」がほぼ同じ割合で4割弱ですね。トップは、離職と同じ要因でした。ただ、「その後、モチベーションダウンの状況から、持ち直すことはできましたか?」という問いに対しては、モチベーションダウンの状況から、約半数の方が持ち直すことができています。
稲垣:日本企業に就職した外国籍人材の早期離職と早期モチベーションダウンの実態がよくわかりました。では、この実態を受けてどのように日本企業は成長していけばいいのでしょうか。
※11月のコラムでは、「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査(課題解決編)」をお届けします。
上崎 大輔
株式会社エイムソウル グローバル事業部研究員
上智大学(学士)、早稲田大学(修士)。2011年三井化学株式会社入社。人事部門にて、新卒採用・人材開発を担当。2016年にケンブリッジテクノロジーパートナーズに転職。大手製造業向けの業務・組織変革コンサルティングに従事。その後、旅行系ベンチャーで海外インバウンド事業の立ち上げに参画。海外1500社の旅行代理店への営業、受注案件の管理・実行を担当。2019年に退社/独立後、株式会社エイムソウル参画
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