約7割の経理担当者が、平時でも経理業務をテレワークに移行したいと回答
コロナ禍で、脱「紙・はんこ」が注目されている現状を受け、本松氏は中堅・中小企業における経理関連業務の課題について言及。「紙・はんこなどのアナログ業務が多く残存している」、「情報システム部門などが無く、システム検討において現場(経理)が主幹となる」など、組織や業務フローの面において、課題があると説明した。続いて本松氏は、同社が運営する経理向けWebメディア「経理プラス」が4月下旬に実施したアンケート調査を紹介。調査結果によると、約7割の経理担当者が「平時でもテレワークできる体制が必要だが、なっていない」と回答していたそうで、コロナ禍に関係なく「経理業務をテレワークに移行したい」と経理担当者が考えていたことを明らかにした。同調査では、経理担当者のニーズに対し、「電子化やペーパーレス化といった変化に各企業の対応がいまだ不十分であることも示された」という。
コロナ禍で「電子帳簿保存法」に対するニーズが増加
テーマはコロナ禍における経理業務の現状に移る。本松氏は領収書・請求書などの紙媒体を電子データ化して保存する「電子帳簿保存法」について言及した。電子帳簿保存法は1998年に施行されたが、ルールが厳しく導入を見送る企業が大半であった。その後、テクノロジーの進化に応じて改正され、導入しやすい状態ではあったものの、依然として企業の関心は薄かった。それが、変わったのが2020年2月だそうで、この月を境に「本法律に関する問い合わせが増えた」そうだ。
問合せに対応するなか、同法に準拠した運用によって紙書類を減らせることや、証跡情報を破棄できるといったメリットが認知され、「在宅勤務に移行する企業が目立ち始めた3~4月頃から、当社でも電子帳簿保存法に対応するオプション機能を契約するお客様が増えました」という。
また、「Web帳票発行サービスも同様に、ペーパーレス化に向けて企業からの問い合わせも急増している」とWeb帳票のニーズについて言及。請求書業務を電子化することで、出社の必要がなくなるため、「在宅勤務に今後移行していく企業からの需要も根強い」と本松氏は見解を示した。
ペーパーレス化に向けて、「法的な証跡」と「内部統制」に分けて整理する
次に、本松氏は、With/Afterコロナ下における企業のバックオフィス業務のあり方について、「本質を捉えたうえで改革に着手するべき」と提言。まずは、紙やはんこが必要なものを「法的な証跡として残すべきもの」と「内部統制上必要なもの」に分けて整理することが必要だと話す。「法的な証跡を残すべきもの」は、法律上どうしても電子化できない契約書が一部ある。全て電子化できる前提で改善を進めると「現場の経理担当者が混乱する」という。「電子化プロジェクトの運営次第では、業務負荷が増える可能性もある」と氏は指摘。
稟議書や経費精算書といった「内部統制上必要なもの」は、すぐにでも電子化できるため、業務負荷の削減につながると語った。脱「紙・はんこ」が世間で注目されているが、やみくもに紙やはんこを廃止してもいいというわけではない。「電子化できない領域を明確に把握しながら、改善に取り組むべき」と本松氏は警鐘を鳴らした。
最後に、本松氏はバックオフィス領域における現状の課題について、「効率化できる業務が多々存在するも、課題化されていない」と指摘。そのうえで、バックオフィスとテクノロジーを組み合わせた「BO Tech」を各企業が推進していく必要があると語った。
「BO Tech」とは、クラウドやAIに代表される先進テクノロジーを積極活用することにより、経理・財務・人事・総務・労務など企業管理部門の業務効率化を実現するソリューションやサービスを指す。従来のアナログな業務が抱える顕在的、潜在的な課題に対するソリューションとして、近年、バックオフィスの働き方をがらりと変えるその効力に注目が集まっている。
今後、労働人口の減少に伴う人手不足がさらに加速することをふまえ、「自社サービスに限らないITの活用でバックオフィスの業務改善、生産性向上を各企業が図っていかなければいけない」と「BO Tech」の重要性について言及し、説明会を締めくくった。
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