優れた人財が企業を成長に導く
本書は「地方でジリ貧を強いられている」「ビジネスのアイデアはあるが人財不足で着手できない」「事業継承を見据えたギアチェンジをしたいが方法がわからない」という中小企業をターゲットとしている。その上で数年先の目標年商のため何をすべきかを逆算発想した中期経営計画をしっかり立てられる企業であることを前提条件としているのがポイントだ。「採用」「育成」「定着」からなる『人財戦略』(本書に合わせて“人財”と表記する)は、本来は事業成長の根幹であるべきものだが、中小企業でこれを最重要課題として取り組んでいるケースはほとんど見られない。この『人財戦略』を『事業戦略』と同列の優先度で扱い、両輪として同時に走らせていくことが「採用ファースト経営」の根本的な考え方である。
現実に中小企業で新卒採用を実施している会社は、全体の1%程度と言われている。それでも中期的な成長戦略を達成していくためには、事業成長を見越した採用計画を立てやすい新卒のほうが中途よりも圧倒的に都合がいい。そして「優れた人財が増えれば、企業は必ず収益性の高い組織に成長することができる」というのが本書のメッセージの骨子となっている。実際、船井総合研究所の支援で「採用ファースト経営」を導入した5年後に売り上げを10倍、社員数を5人から120人に伸ばした企業もあるという。
必読は「採用ファースト経営」の成功事例
本書は第1章『「採用ファースト経営」とは』、第2章『「採用ファースト経営」実現のための社内改革』、第3章『中小企業が「新卒大量採用」を実現する方法』、第4章『「即戦力化」と「定着化」の秘訣』という4つの章で構成されている。第1章ではタイトルの通り、「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」を3本柱とした経営手法である『採用ファースト経営』の概要が紹介される。また、『採用ファースト経営』に最適な企業の定義、採用ファーストを後押しする背景も合わせてまとめられている。
第2章には「採用ファースト経営」を実現するための具体的なノウハウが記されている。先述のような『人財戦略』と『事業戦略』の連動や、新人が活躍しやすい業務形態への変化、採用体制の整備、昇給・昇格ロジックの透明性の担保、そして若い人が働きたいと思える会社になるための必要条件など。福利厚生の魅力的な見せ方といった、一覧付きの実用的な項目も用意されている。
第3章の『中小企業が「新卒大量採用」を実現する方法』は、本書を手に取る企業の人事担当が最も気になるパートに違いない。この売り手市場の中で、中小企業がどのように新卒大量採用など実現すればいいのか? 本書では準備段階としてまず「採用コンセプトの明確化」を掲げている。例としてここでは船井総合研究所の求める人物像「仕事好き、会社好き、仲間好き」が挙げられるが、「求める人物像」はマーケティングでいえば顧客ターゲットである。そして「ただでさえ集まらないのに、人物像を明確にすることでさらに人が集まらないのでは?」という、ある意味で当たり前の疑問には「価値観が最初からマッチする学生は新卒市場にいない」が、「採用活動を通して学生たちを自分たちが求める人物像に育てることはできる」と続ける。そのための具体策としてマルチ・チャンネルによる母集団の形成、動員力の向上などが紹介され、判断基準にブレのない採用や内定辞退率の抑制の重要性も説かれている。
第4章は「採用ファースト経営」の3本柱である「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」のうち、「早期育成」と「定着化」の秘訣が紹介される。簡単に言ってしまえば「早期育成が定着化につながる」というシンプルなロジックで、OJTが必ずしも早期育成にはつながらないこと、育成の基準を定めること、定着率を上げるための具体策などもそれに紐づけて説明される。
巻末には「採用ファースト経営」の成功事例として、ホンダカーズ佐賀の代表取締役・岡野晃士氏のインタビューが掲載されている。「採用ファースト経営」の導入によって10年で売り上げは2倍、従業員数は2.5倍にアップ。地方の中小企業で不人気業種というハンデを背負いながら、なぜ同社が成長曲線を実現することができたのか。岡野氏の来歴から船井総合研究所とのタッグによる「採用商圏の拡大」「多角化」「社風・働き方改革」「採用体制の整備」「インターンシップ企画」「リクルートページの新設」「OfferBoxの活用」などの実施までが仔細に語られている。
本書の表紙には「超攻撃的「人財ファースト戦略」の全貌」というサブタイトルが踊っている。これからの中小企業の『人財戦略』は『事業戦略』との両輪によってのみ達成され、10年後を見据えたローリスク・ハイリターンの投資や正確な採用計画数の算定によってその達成度はさらに高められる。「攻めの経営」に舵を切りたい中小企業の背中を力強く押してくれる一冊である。
優れた人財が企業を成長に導く
本書は「地方でジリ貧を強いられている」「ビジネスのアイデアはあるが人財不足で着手できない」「事業継承を見据えたギアチェンジをしたいが方法がわからない」という中小企業をターゲットとしている。その上で数年先の目標年商のため何をすべきかを逆算発想した中期経営計画をしっかり立てられる企業であることを前提条件としているのがポイントだ。「採用」「育成」「定着」からなる『人財戦略』(本書に合わせて“人財”と表記する)は、本来は事業成長の根幹であるべきものだが、中小企業でこれを最重要課題として取り組んでいるケースはほとんど見られない。この『人財戦略』を『事業戦略』と同列の優先度で扱い、両輪として同時に走らせていくことが「採用ファースト経営」の根本的な考え方である。
現実に中小企業で新卒採用を実施している会社は、全体の1%程度と言われている。それでも中期的な成長戦略を達成していくためには、事業成長を見越した採用計画を立てやすい新卒のほうが中途よりも圧倒的に都合がいい。そして「優れた人財が増えれば、企業は必ず収益性の高い組織に成長することができる」というのが本書のメッセージの骨子となっている。実際、船井総合研究所の支援で「採用ファースト経営」を導入した5年後に売り上げを10倍、社員数を5人から120人に伸ばした企業もあるという。
必読は「採用ファースト経営」の成功事例
本書は第1章『「採用ファースト経営」とは』、第2章『「採用ファースト経営」実現のための社内改革』、第3章『中小企業が「新卒大量採用」を実現する方法』、第4章『「即戦力化」と「定着化」の秘訣』という4つの章で構成されている。第1章ではタイトルの通り、「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」を3本柱とした経営手法である『採用ファースト経営』の概要が紹介される。また、『採用ファースト経営』に最適な企業の定義、採用ファーストを後押しする背景も合わせてまとめられている。
第2章には「採用ファースト経営」を実現するための具体的なノウハウが記されている。先述のような『人財戦略』と『事業戦略』の連動や、新人が活躍しやすい業務形態への変化、採用体制の整備、昇給・昇格ロジックの透明性の担保、そして若い人が働きたいと思える会社になるための必要条件など。福利厚生の魅力的な見せ方といった、一覧付きの実用的な項目も用意されている。
第3章の『中小企業が「新卒大量採用」を実現する方法』は、本書を手に取る企業の人事担当が最も気になるパートに違いない。この売り手市場の中で、中小企業がどのように新卒大量採用など実現すればいいのか? 本書では準備段階としてまず「採用コンセプトの明確化」を掲げている。例としてここでは船井総合研究所の求める人物像「仕事好き、会社好き、仲間好き」が挙げられるが、「求める人物像」はマーケティングでいえば顧客ターゲットである。そして「ただでさえ集まらないのに、人物像を明確にすることでさらに人が集まらないのでは?」という、ある意味で当たり前の疑問には「価値観が最初からマッチする学生は新卒市場にいない」が、「採用活動を通して学生たちを自分たちが求める人物像に育てることはできる」と続ける。そのための具体策としてマルチ・チャンネルによる母集団の形成、動員力の向上などが紹介され、判断基準にブレのない採用や内定辞退率の抑制の重要性も説かれている。
第4章は「採用ファースト経営」の3本柱である「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」のうち、「早期育成」と「定着化」の秘訣が紹介される。簡単に言ってしまえば「早期育成が定着化につながる」というシンプルなロジックで、OJTが必ずしも早期育成にはつながらないこと、育成の基準を定めること、定着率を上げるための具体策などもそれに紐づけて説明される。
巻末には「採用ファースト経営」の成功事例として、ホンダカーズ佐賀の代表取締役・岡野晃士氏のインタビューが掲載されている。「採用ファースト経営」の導入によって10年で売り上げは2倍、従業員数は2.5倍にアップ。地方の中小企業で不人気業種というハンデを背負いながら、なぜ同社が成長曲線を実現することができたのか。岡野氏の来歴から船井総合研究所とのタッグによる「採用商圏の拡大」「多角化」「社風・働き方改革」「採用体制の整備」「インターンシップ企画」「リクルートページの新設」「OfferBoxの活用」などの実施までが仔細に語られている。
本書の表紙には「超攻撃的「人財ファースト戦略」の全貌」というサブタイトルが踊っている。これからの中小企業の『人財戦略』は『事業戦略』との両輪によってのみ達成され、10年後を見据えたローリスク・ハイリターンの投資や正確な採用計画数の算定によってその達成度はさらに高められる。「攻めの経営」に舵を切りたい中小企業の背中を力強く押してくれる一冊である。
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