今回も前回に引き続き、HR総研が2018年11月20日~30日に、株式会社リブセンスが運営する就活クチコミサイト「就活会議」会員を対象に実施した「2020年新卒学生の就職意識調査」の結果をお伝えします。前回はインターンシップを中心に取り上げましたが、今回は基本的な就職意識と活動状況について、文系・理系別の傾向を確認していきたいと思います。
なお、「就活会議」会員は、早期から就職活動を開始する意識の高い学生の割合が多いため、他の就職ナビ発表の調査結果のデータよりも進捗率が高めに出る傾向がありますのでご注意ください。
「売り手市場」と言われようと、就活に不安を抱える学生
2020年入社に向けて、これから本格化する就職活動をどう捉えているのかを聞いたところ、「(やや)楽観している」学生は文系・理系ともに2割もなく、「やや不安である」「とても不安である」とする学生がいずれも7割近くに上ることが分かりました[図表1]。特に文系では、「とても不安である」とする学生が26%と、4分の1を超えています。大学名を見ると、「大阪大学」「九州大学」「慶應義塾大学」「早稲田大学」「同志社大学」などの上位校の学生も少なくありません。不安の理由は「面接」と「エントリーシート」
次に、「不安である」と回答した学生を対象にその理由を選択してもらったところ、文系・理系ともに最も多かったのが「面接が苦手だから」、次いで「エントリーシートが大変そう」と続き、3位「自己分析ができていないから」、4位「業界研究ができていないから」、5位「志望業界・企業が決まっていないから」、6位「筆記試験が苦手だから」と、なんと6位まではまったく同じ順位になりました[図表2]。面接やエントリーシートに不安を覚える学生の割合は理系のほうが高く、特に「面接が苦手だから」とする学生は理系が文系を10ポイントも上回り、6割近くにも及びます。不安を感じている具体的なコメントも見てみましょう。
・資格の取得が必須の職種を第一志望にしているから(立教大学・文系)
・スケジュールの管理が不足(早稲田大学・文系)
・自分がしたい仕事の会社が少ない(広島工業大学・理系)
・自分の志望する業界は高倍率でわずかな人数しか通らないから(佛教大学・文系)
・大手志望で、就職の倍率は売り手市場といえど高いから(日本女子大学・文系)
・明確に受かるラインが分からないため不安(福岡大学・文系)
・インターンの選考結果が奮わない(大阪大学・文系)
・インターンシップが思うように受からないから(北海道大学大学院・文系)
・研究が忙しいから(慶應義塾大学・理系)
・学歴が良い学校に来てしまったので良いところに就職しないと、というプレッシャーがある(早稲田大学・文系)
・英語力が足りてないから(近畿大学・文系)
インターンシップの選考結果から不安に感じている学生が、旧帝大ばかりなことを意外と思われるかもしれません。ただ、前年の調査でもインターンシップ事前選考での落選経験の有無は、上位校ほど高い傾向がありました(2018年9月の本稿参照)。
考えられる理由は主に二つです。一つは、応募先企業群の違いです。上位校学生の応募先は大手(競争率が高い)企業の割合が圧倒的に多くなるのに対して、そうでない大学グループ層は大手だけではない(競争率が低い)企業群にも応募していること。そしてもう一つは、上位校学生は、定員の少ない複数日程タイプのインターンシップを好む割合が多いことです。開催回数や1回当たりの定員の多い1Dayタイプのインターンシップを好む学生のほうが、選考落ちする割合が少なくなります。