昨年は、働き方改革の話題を見ない日がないほど、社会の注目を集めていましたね。働き方改革においては、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の問題にとどまらず、少子高齢化、生産年齢人口の急速な減少の中で、生産性向上が強く求められています。それは量的なものだけではなく、世界で負けないイノベーションを起こす力を高めることなど、質的な向上も不可欠です。この動きは一過性のものではなく、日本の“働き方”を根本から見直し変革していくことが、企業の経営者、人事部門に求められています。
さらにこれは、企業の人材・組織戦略に本質的な影響を与えるものであり、そこでは新たな次元でのパラダイムシフトが求められていると言えるでしょう。新卒採用においても、昨年は経団連の中西宏明会長による「就活ルール廃止」発言が、日本固有の「新卒一括採用」をあらためて考え直す、政府を巻き込んでの大きな問題提起となりました。グローバル企業との人材獲得競争で足かせにしかならない「就活ルール」の是非だけでなく、各企業に自社の人材戦略そのものの再考を促す契機にもなっています。
2020年卒採用まではこれまでの経団連の指針が継続され、2021年卒採用においても政府主導による現行スケジュールの維持が決定しています。ただし、現在進行中の2020年卒採用においては、すでに前年以上の前倒し傾向が鮮明に現れるなど、実質的な「就活ルール廃止」に向けた動きが進行しており、新卒採用が大きな転換点を迎えていることは間違いありません。本欄では、今年も新卒採用における変化を皆さまにいち早くお伝えしていければと思います。本年も何とぞよろしくお願いいたします。
文系の5割、理系の3割は、すでに4社以上のインターンシップに参加
今回は、株式会社リブセンスが運営する就活クチコミサイト「就活会議」会員を対象として、HR総研が2018年11月20~30日に実施した「2020年新卒学生の就職意識調査」の結果をお伝えします。本調査の内容は、基本的な就職意識と、インターンシップを中心とした活動状況を聞いたものになります。本来であれば就職意識からご報告すべきところですが、これから本格化するウィンターインターンシップの参考にしていただけるよう、インターンシップに関する結果から先にご紹介したいと思います。なお、「就活会議」の会員は、早期から就職活動を開始する意識の高い学生の割合が多いため、他の就職ナビ発表の調査結果のデータよりも進捗率が高めに出る傾向がありますのでご注意ください。
まずは、これまでにすでに参加したインターンシップの社数です[図表1]。インターンシップに応募をしていない学生の堀合は、文系で7%、理系に至っては3%と極めて少数派となっています。
参加社数の内訳を見てみると、最も多いのは文系・理系ともに「4~6社」で、文系で27%、理系で25%にもなります。2019年卒業予定の学生に対して、採用広報が解禁となった昨年3月に、「楽天みん就」会員を対象に実施した調査でも、「4~6社」が文系23%、理系20%で、ともに最多でした。ただし、このときの調査はサマーインターンシップよりも参加者の多いウィンターインターシップを経た後に行ったものだったので、今回の結果は、いかにインターンシップ参加学生が増えているのか、裏返せばインターンシップを実施する企業数やインターンシップの開催数が増えているかを物語っています。今回の調査では、「4~6社」「7~9社」「10社以上」を合計すると、文系では47%と5割近く、理系でも33%と3分の1を占めています。セミナー感覚でインターンシップに参加している様子がうかがえます。