前回は、NASAの中でのKT法の問題分析の活用事例をお伝えいたしました。今回は、各企業における活用事例をいくつか紹介いたします。
企業におけるKT法の活用事例
ある会社のお客様相談コールセンターでは、お問い合わせの入ったトラブルの原因が、製品の不具合によるものか、購入者の使い方によるものなのかを判別するために、KT法を使っています。

KT法の問題分析に使われる情報整理のマトリックスでは、WHAT(何に)・「WHERE(どこで)・WHEN(いつ)・EXTENT(どの程度)を縦軸、IS(起きている事象)・IS NOT(起きていそうなのに起きていない事象)を横軸として、情報を整理していきます。

これによって情報の抜け落ちが防げるだけでなく、このマトリックスを埋めるための質問をマニュアルとしているので、より効率的に問題分析を行うことができます。

また、ある会社では、いくつかの案の中から最適案を決めたい時に、決めるための「ものさし」として、KT法の決定分析の一部を使用しています。

例えば、目標を定める際に、出た案を「MUST」と「WANT」に分けた後、その重要度を点数にして見ていくというものです。こうすることにより、目標を定めるうえで、何がより重要なのかを明確に認識することができます。

KT法のプロセスの共通要素として、常に状況や考えを書き記しながら進めていく、ということがあります。書いて可視化することによって「今、何をしているか」を意識することができるのです。

常に優先順位があるというのも、KT法の共通の考えといっていいでしょう。企業の中では、何かを実行する際に必ず「ヒト、モノ、カネ」が必要なので、それらに対し細かく優先順位をつけることで、重要なものから効率よく進めていくことができます。

KT法の研修では、こうしたフルプロセスを子細にわたってお伝えしていますが、今回紹介した例のように部分活用しながら、実際の業務に活かしている企業も多いようです。皆様におかれましてもまずはこうしたKT法の基本的な考え方などを、明日からの仕事に気軽に使ってもらえればと思います。
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