そう思う 39.4%
わからない 28.6%
そう思わない 31.9%
2001年は、「そう思う」という回答は42.4%でした。その頃と比べると、若干、成果重視の意識が弱くなっているようです。
百の知識よりも実際に達成された成果こそが良否の判断で、なによりも重要な基準であると同時に、すぐれた業績の達成が事業経営の目的でもある」と書いています。
企業ですから、結果、成果で評価されるのは「当たり前」のことです。
しかし、学生の段階では、「知識」がテストで問われ、知識の豊富さそのものが彼らの成果=テストの点数であったため、知識偏重の思考様式が形成されてしまうことがあると考えられます。
そのために、意識調査では、約4割程度しか正答しないと考えられます。
ちなみに、この設問、知識を軽視するわけではありません。
知識は行動のために必要なものです。が、知識を持ちながら、それを行動面で生かせない、知識をひけらかすだけの評論家ではだめだ、ということです。
土光敏夫は「経営の行動指針」の中で、次のように述べています。
「私は、思考のたいせつさを否定するものではない。
しかし、行動となって現れないような思考は、ビジネスにとって無用であり、時には有害でさえあると思う。
行動を伴わない思考は腐敗を生むからである」知識は行動を伴ってこそ、意味があるということです。
しかし、現場では知識はあっても、なかなか行動に移せない、移さない若手が増えているように感じます。昔は、「とにかくやってみよう」と、わけもわからず走り始める新人がいて、危なっかしくも頼もしく思えたのですが、最近、そういう新入社員にあまり出会えません。
では、そういう新入社員に、どう対応すればよいのでしょうか?
弊社の新入社員研修の「組織とは何か?」を伝える項目で、「百の知識よりもひとつの成果の精神で」という言葉があります。
この項目を伝えるのに、よく甲子園を目指す高校野球部の事例を使います。
それは、「甲子園出場を目指す高校野球部。ポジション争いは熾烈なはず。
しかし、そのポジションを平等に、ということで、くじ引きで決めたらどうなる?」というものです。
新入社員は、「勝つためには、一番できる人がそのポジションに就かなければならない」と頭でわかっていますので、「それは、おかしい、それでは負けてしまう」と答えます。「でも、確かに、ミスは多いし、下手だけど、一番、がんばっていたのは、Aさんで、レベルの高いBさんじゃないよ。がんばったAさんはどうするの?」と聞いても、「いや、チームが勝つことが大事ですから」と意見を変えません。
頭では、十分、成果主義の大切さは理解されているのです。
ところが、そんな新入社員も実際に現場に入ると、「こんなにがんばったのに評価されない」という人がでてくるのです。「がんばった」だけで評価されるのは、ゆとり教育の中での話なんですが、なかなか、この思考様式は変わりません。
これを解決するためには、「早い段階で、できる限り評価を付け、差を見せること」これが一番の対処法であると私は考えています。
早い段階で、会社が求める成果を出すこと、その差で評価を下していってあげることです。プロセス目標を設定し、プロセスで指導を行うことも並行してやらねばなりません。
また、彼らは、競争にすら慣れていません。成果の差を明確に示し、貼り出すようなことも必要です。
導入研修の段階でも、行動面や学習成果などを競わせることはもちろん、現場配属後にもすぐいくつかの課題を設定し、計測できる目標も決め、取り組ませることが重要です。その内容は、「業務の成果そのもの」でなくとも、何らかの形で業績につながっていると実感できるものである必要があります。
たとえば、事務職ならば一日取れた電話の数でも良いですし、飛び込みで営業させるなら、もらった名刺の数でかまいません。
土光敏夫の「経営の行動指針」の中には、次のような文章があります。
「人は、早く高度の仕事につけるほど伸びる公算が大きい。仕事は重課主義でゆけ」「どんな人でも、若いうちから、能力を上回る程度の仕事を与え、厳しく鍛える。
そのような困難に立ち向かい、努力を重ね、苦労を積まねば人は育たぬ。実力と人間は形成されぬ」
現場最前線こそ、人材育成の場です。そこで成果を重んじた課題を与えること、それが早期から必要だということではないでしょうか。
それと、もうひとつ。新人が失敗しても、それをカバーできる先輩、管理者が必要ですね。最近は、そういう先輩や管理者が少ないので、新人に仕事を与えない、そんな風潮もあるように感じます。
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