大企業・中堅企業の新入社員研修の実施期間は「1カ月以上」が過半数

続いて、再調査では、新型コロナウィルス感染拡大の継続も視野に入れ、4月に入社する新入社員への研修に関する対策についても聞いてみました。

まず、「新入社員研修の実施期間」については、「1カ月程度」が18%で最多で、次いで「2カ月程度」と「1週間程度」がともに14%となっており、「1カ月以上」(「1カ月程度」「2カ月程度」「それ以上」の合計、以下も同じ)である割合が4割を占めています[図表13]。企業規模別に見ると、「1カ月以上」が大企業で64%、中堅企業では52%と過半数を占める一方、中小企業では28%で、むしろ「実施していない」企業が3割もあることが分かりました。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
新入社員研修を実施する予定の企業に対して「実施期間の短縮、延期、中止等の対策」について聞いたところ、「検討していない」が63%と圧倒的で、「短縮を検討」が16%、「延期を検討」が12%となっています[図表14]。再調査を行った時点では、3月で収束することを期待している企業が多かったことの表れともいえそうです。ただし、企業規模別で見ると、大企業においては「短縮を検討」が19%、「延期を検討」が23%、合わせて4割程度が対策を取ることを予定しています。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか

新入社員研修の実施形態を「変更する予定はない」が6割

このように、新入社員研修については対策を取る予定のない企業が多くなっていますが、これまでの研修はどのような形で行われていたのでしょうか。「例年の新入社員研修の形態」(複数回答)について聞いてみると、「集合研修」が92%と飛び抜けており、次いで「職場見学・実習」が61%、「課題・レポート提出」が47%となっています[図表15]。ほとんどの企業が「集合研修」を実施し、それと組み合わせて複数の形態で新入社員研修を行っていることが分かります。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
では、このように集合研修をメインで実施する企業が多い中、感染拡大への対策として研修形態の変更を検討している企業は、現時点においてどの程度あるのでしょうか。「新入社員研修の実施形態の変更」(複数回答)としては、「変更する予定はない」が62%で圧倒的に高く、変更を予定する企業では「少人数制の集合研修」が13%、「新たにeラーニング形式で行う」が9%となっており、実施期間の変更と同様に、現状では「変更しない」が多数派となっていることが分かります[図表16]
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか

新入社員研修に「変更の必要性を感じない」が最多

新入社員研修の形態を変更する予定のない企業が6割を占めており、これら企業に対して「新入社員研修の変更を予定していない理由」(複数回答)を聞いてみたところ、「変更の必要性を感じない」が36%で最も多く、「集合研修の参加人数が少ない」が30%、「変更が間に合わない」が11%となっており、採用活動と比べると新入社員研修の実施にはさほど危機感を持っていない企業が多いようです[図表17]
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
企業規模別に見ると、大企業では「集合研修をしているが、変更の必要性を感じない」が56%で最多となり、中堅・中小企業では「集合研修の参加人数が少ない」が最多となっています。確かに大人数が集まらないのであれば、集合研修でも感染拡大のリスクは低くなり、対策の必要性を感じにくいのかもしれません。しかし、大人数で集合研修を行う大企業では、4月以降も感染拡大が止まらない状況になった場合、採用活動と同様に何らかの対策を迫られる可能性が生じることも考えられます。

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