早期内定に果たして意味はあるのか
年々採用活動や就職活動の「早期化」が指摘されていますが、採用活動や就職活動の終了時期の早期化には必ずしもつながっていないように思われます。「早期化」ではなく、「早期化・長期化」が正しい認識ではないかということです。次に、入社予定の企業に対し内定承諾をした学生について、同企業から内定を取得した時期を尋ねた結果が[図表12]です。文系では、「2024年5月後半」が24%で最も多く、次いで「2024年4月前半」(13%)、「2024年4月後半」(12%)、「2024年3月後半」(11%)が続きます。「2024年5月前半」は8%と、3~4月、5月後半と比較すると若干割合は低いですが、5月前半はゴールデンウイークがあり稼働日が少ないことを考えると、「2024年3月後半」~「2024年5月後半」に取得した内定先に対して、内定承諾をしている割合が極めて高い(同期間の合計で68%と7割近く)といえます。一方、理系では、「2024年2月」が16%で最も多く、次いで「2024年4月前半」(15%)、「2024年4月後半」(13%)、「2024年3月前半」(12%)が続くなど、文系と比較すると少し早い時期に取得した内定先について承諾しているようです。「2024年2月」~「2024年4月後半」を合計すると63%と6割を超えます。
2023年内に取得した早期内定に対して承諾した割合はどうでしょうか。文系は12%、理系は9%と、いずれも1割程度にとどまります。早期に出した内定に、そのまま承諾する学生は少ないといってよいでしょう。理系は文系よりも早いペースで面接や内定出しが行われているにもかかわらず、文系よりも内定承諾率は低くなっています。優秀な学生と接点を持ち、自社を訴求していく意味で夏期インターンシップは重要な役割を果たしていることは間違いないものの、インターンシップ参加者を対象とした早期選考、早期内定出しは決して有効な戦術とはいえなさそうです。