ProFuture代表の寺澤です。
10月1日、国立大学法人東京工業大学と同東京医科歯科大学が統合され、新たに「国立大学法人東京科学大学」が誕生しました。両大学の強みを生かし、世界トップレベルの研究大学を目指すことを目的としており、理工系と医療系の融合により、革新的な研究や教育が期待されます。学際的な研究の促進や、新たな技術・治療法の開発、グローバルな競争力の向上などの効果が見込まれる半面、ともに伝統校であるがゆえの「異なる文化や制度の統合」には課題がありそうです。
第163回 “旧帝大”学生の就活期間の長さが顕著に。25卒の内定社数・内定承諾状況とは
本連載で取り上げているHR総研の調査では、旧7帝大(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)に、一橋大学、神戸大学、そして東京工業大学を加えた10大学を「旧帝大クラス」と区分していましたので、今後は東京科学大学を「旧帝大クラス」として扱うことになります。東京工業大学は「東工大」の略称が広く浸透していましたが、東京科学大学は「東科大」と呼ばれることになるのでしょうか。いずれにしても、新大学名を旧東京工業大学、および東京医科歯科大学のことだとすぐにイメージできるようになるまでには、しばらく時間がかかりそうです。

「とりあえず内定承諾しておく」学生

今回も前回に引き続き、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2025年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2025年新卒学生の就職活動動向調査(6月)」(調査期間:2024年6月3~17日、有効回答:338件)の結果を紹介します。今回は、「内定」に関連するトピックスの調査結果をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

まず、6月上旬時点での内定社数を見ると、「0社(未内定)」と回答したのは文系で13%とまだ1割を超えるものの、理系ではわずか3%にとどまり、理系の採用ニーズの高さを改めて感じることができます[図表1]。内定保有者の社数を見ると、文系では「2社」と「4~6社」がどちらも27%で最も多く、次いで「3社」(15%)、「1社」(12%)が続きます。一方の理系では、「2社」が31%で最も多く、次いで「4~6社」(24%)、「1社」(21%)、「3社」(13%)が続きます。2社以上の複数内定を保有する学生は、文系で75%、理系でも76%といずれも4分の3以上を占め、学生優位の就職活動が展開されていることがうかがえます。
[図表1]6月上旬時点での内定社数
内定承諾の状況について見ると、「1社だけに内定承諾した」が文系52%、理系63%と過半数となっています[図表2]。ただし、「内定したすべての企業に内定承諾した」(内定2社以上)が文系17%、理系18%とどちらも2割近くあり、「内定した一部(2社以上)の企業に内定承諾した」は文系で20%、理系で13%と、両方を合計した “2社以上に内定承諾した” 割合は3~4割近くに及んでいます。企業からすれば、かなりの数の「内定承諾」が空手形に終わる可能性があるということです。
[図表2]内定承諾の状況
では、学生はどのような意識で企業に対して内定承諾をしているのでしょうか。[図表2]で、「まだ1社にも内定承諾していない」と回答した学生を除いて、内定承諾時の意識について聞いたところ、「内定承諾した企業に入社することを、強く希望している」は、文系で17%、理系で18%とどちらも2割に達していません[図表3]。最も多かった回答は、文系・理系ともに「入社する企業を絞り込めておらず、とりあえず承諾しておく」で、それぞれ52%、63%と5~6割以上に及んでいます。「内定承諾した企業に入社するつもりだが、まだ他の企業も考えたい」や「選考中の企業があり、とりあえず承諾しておく」という学生も少なからずおり、企業にとっては極めて恐ろしい結果となっています。この記事が公開されるタイミングは、大多数の企業で内定式が実施された後となっており、それまでに内定辞退連絡に悩まされた企業が少なくなかったであろうことが容易に想像できます。
[図表3]内定承諾時の意識

OB・OGの意見より口コミサイトの情報を参考

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