服装を気にしなくていい「録画方式」
セミナー・会社説明会に関するトピックの最後は、「好ましいオンライン配信方式」です。リアルタイムで配信する「ライブ方式」と、事前に収録してのオンデマンド配信となる「録画方式」について、どちらが良いかを聞いたところ、「ライブ配信」を支持する学生が、文系55%、理系59%で、「録画方式」の文系26%、理系24%の2倍以上となっています[図表12]。それぞれの理由を、以下に抜粋して紹介します。「ライブ方式」は、リアルタイムでの質問と緊張感・集中力を挙げる学生が大半となっています。「録画方式」の理由として、時間制約がないことや繰り返し再生は想定されたものの、「服装を気にしなくていい」とする回答が散見されたことは新たな発見です。
【ライブ方式】
・会社や人事の熱意を感じられる(上位私立大、文系)
・質問にリアルタイムで答えてもらえる(早慶大クラス、文系)
・他の就活生の質問に対する答えを聞いて、企業に対する情報を得たり、印象をつかむことができる(上位私立大、文系)
・緊張感があっていい(旧帝大クラス、理系)
・本当の雰囲気が伝わる(その他私立大、文系)
・録画形式だと集中できなかった(上位私立大、文系)
・ライブ形式のほうがリアルタイムで説明を聞けるので、理解もしやすいし、質疑応答など、柔軟な説明会になる(上位国公立大、理系)
・録画形式だと面倒くさくなって見なくなる可能性もあるため、ライブ形式で、かつ顔出しアリの説明会のほうが集中できます(旧帝大クラス、文系)
・ライブ形式のほうが説明する側も伝わりやすいように、聞き逃しがないようにという意識になるから(その他国公立大、理系)
・生の声を聞けていると感じる(中堅私立大、文系)
・説明している人が事務的でない(上位私立大、文系)
・ライブ形式に参加したもののみが得られる特典のようなものがある場合が多いので、ライブ形式のほうが良い(その他私立大、理系)
・録画だと意識が簡単に違うところに飛んでしまうこともあり、理解が浅くなってしまい、同じところを何度も見返すことになった(上位私立大、文系)
【録画方式】
・時間の制約を受けないから(早慶大クラス、文系)
・ライブで見逃してしまった部分も、止めながら確認できる(早慶大クラス、文系)
・何度も見返すことができる上に、倍速など自分に適した視聴方法が選択できるため(その他国公立大、文系)
・自分の見たいところ、聞きたいところを何回も見られるから。逆に興味のない部分は飛ばすことができるから(中堅私立大、理系)
・好きな時間に好きな服装で緊張することなく説明を聞くことができる。メモをしやすい(その他私立大、文系)
・時間、場所、自分の服装を気にしなくていいから(中堅私立大、文系)
・要点がよくまとまっており、ESを書く際に見返しやすい。また、2倍速で見ることができる(中堅私立大、文系)
最終面接は「対面型」へ大きくシフト
最後に、面接に関するトピックから二つのデータを紹介します。コロナ禍で、セミナーや会社説明会と同様にオンライン化が一気に進んだ面接ですが、かつての対面型の面接時と比較すると、内定学生に対するグリップ力が低下したと感じる企業が少なくありませんでした。その結果、2023年卒採用では、非常事態宣言のような行動規制もなかったことから、対面型面接の復活を模索した企業が多かったようです。今回、学生側の視点から、実際に受けた「一次面接」と「最終面接」の形式について、回答してもらいました。まずは、「一次面接の形式」から見ていきましょう。文系・理系ともに最も多かったのは「オンライン:対面型=10:0」、つまり受験したすべての企業がオンライン面接だったとの回答で、文系で40%、理系に至っては59%とほぼ6割に及びます[図表13]。ここでの文系と理系の差は、理系のほうが研究・実験等で多忙だろうとの企業側の配慮もあるでしょうが、グリップ力をあまり考慮する必要のない推薦応募の学生への対応によるものだと推測されます。