5~6割近い学生が内定承諾先に不安あり

次は、内定者が入社に向けて内定承諾先企業に抱く不安について見ていきましょう。まず、不安の有無については、文系58%、理系45%が「ある」と回答しています[図表9]。文系は6割近く、理系は文系より低いとはいえ半数近い学生が何らかの不安を抱えているようです。
[図表9]内定承諾先企業への入社に向けた不安
では、どんなことに不安を感じているのでしょうか。[図表9]で不安が「ある」と回答した学生を対象に、その内容について複数回答してもらったところ、文系では「仕事で成果を出せるか」が38%で最も多く、次いで「職場メンバーになじめるか」が35%で続きます[図表10]。理系でも、文系とは順位こそ逆転するものの、「職場メンバーになじめるか」(47%)、「仕事で成果を出せるか」(45%)の2項目が他の項目を引き離して多くなっています。

その他の上位の項目を見ると、「配属部署が分からない」と「給与・福利厚生」が文系・理系ともに28~29%と、3割近い学生が不安に感じています。文系と理系を比較して見ると、「社会人としてのマナーやエチケットの習得」は文系13%に対して理系25%、「会社のルールや理念などへの共感」が文系4%に対して理系13%など、マナーやルールについて理系のほうが不安を感じていることが分かります。一方、「会社の安定性」については文系の23%に対して理系は14%と低くなっています。もともと企業選択の観点では、理系のほうが「安定性」を重視する大企業志向が強く、企業規模の大きい内定先企業の割合が高いことが反映された結果と推測されます。
[図表10]入社に向けての不安の内容(複数回答)
内定承諾先企業内に、不安等を相談できる相手がいるかについては、文系・理系とも57~58%と6割近くが「いる」と回答しています[図表11]。内定承諾先企業内に相談できる相手がいれば、不安を解消していくことも可能なのでしょうが、残りの約4割の内定者は、そうした相談相手がいないため、不安を抱えたまま入社までの日々を過ごすことになります。内定承諾を複数の企業にしている学生にとっては、より不安が少ない企業を最終的な入社先企業として選択することになるでしょう。企業としては内定者一人ひとりにメンター的なサポートができる社員をアサインするなど、個別の内定者フォロー施策を実施することが必要と思われます。
[図表11]内定承諾先企業内における相談相手の有無

早期内定に果たして意味はあるのか

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