「コミュニケーション能力」が不動の位置に
学生の入社志望度の形成においては、面接官やセミナーに登壇する社員など、学生の就職活動に接点を持つ社員の言動・印象が大きく影響するといわれています。では、企業はその対策として、面接に携わる現場の管理職や社員に対して、採用活動の重要性や面接の役割、自社の求める人物像、学生に伝えたい企業メッセージ、面接での禁止事項など、どの程度共有することができているのでしょうか。面接官へ面接前に実施している施策について、複数回答で選択してもらった結果が[図表9]です。インターンシップに始まり、就職ナビや合同説明会、個別に開催するセミナーと、採用活動前半でのプロモーション活動にはそれなりに注力しているものの、採用活動の締めくくりであり、かつ最も重要な「面接」が軽んじられているように思えてなりません。「面接」の内容や、それに携わる社員の教育研修にこそ、もっと注力すべきだと思います。結果的にそれが入社志望度の維持・向上に寄与し、採用力のアップにもつながるものと思われます。
次に、面接やインターンシップを通して見ている「学生に求める能力」について、前年同時期調査と比較しました。トップは今回も「コミュニケーション能力」で78%(前年77%)と2位以下に倍以上の差をつけて、不動のポジションを築いています[図表10]。2位は、前回3位だった「チームで働く力」35%(同34%)となりましたが、得票割合自体は前回とほとんど変わりません。ただ、3位以降には少し変動があります。
なお、DX人材ニーズが高まっていることもあり、今回から「プログラミングスキル」と「データ解析能力」の二つの項目を追加してみましたが、それぞれ3%、2%と低調な結果となりました。一部の部門の社員だけに必要な能力と捉えられているのか、全社員に必要な素養だとしてこれから注目していく企業が増えてくるのか、次回以降の調査結果を注視していきたいと思います。