内々定出しの開始時期は「2020年6月前半」が最多
続いて「内々定出しの開始時期」については、「2020年6月前半」が20%で最多で、次いで「2020年6月後半」が14%、「2020年7月前半」と「2020年9月以降」がともに10%と続きます[図表8]。一方、合同企業説明会や大学内での企業説明会を母集団形成の重要施策と考えていた企業にとっては、学生との出会いの機会が大幅に減少している中で、エントリー数自体の減少に悩まされており、2021年卒の採用活動が落ち着くまでにはまだまだ時間を要しそうです。
6月1日、2022年卒採用もスタート
6月1日には、2022年卒向けの就職ナビがインターンシップ情報サイトとして一斉にオープンしました。今年のインターンシップについての変更点は二つ。一つは、これまでよく使われていた「1Dayインターンシップ」という呼称が使えなくなったことです。これまでも、半日や1日だけで、しかもワークショップやセミナー形式が主体のものを「インターンシップ」と呼んでいいのかという議論がされてきました。ただ、経団連が2017年4月に「採用選考に関する指針」の手引きを改定し、「学生の就業体験の提供を通じた産学連携による人材育成を目的とすることに鑑み、当該プログラムは、5日間以上の期間をもって実施され、学生を企業の職場に受け入れるものとする」としていた文言を削除し、「5日間以上」の制約がなくなったことで、大手企業にも一気に「1Dayインターンシップ」が広がりました。特に1~2月のウィンターインターンシップに至っては、実施されるインターンシップの大半が「1Day」というありさまになっています。当時は、短期インターンシップで学生を囲い込む外資系やIT系メガベンチャー企業などの動きに対抗するための苦渋の判断だったといえます。
ところが、就職みらい研究所の調査では、「最も役立たないインターン期間」として4分の3以上の学生が「1日」を挙げたほか、仕事体験の機会がほとんどない会社説明会まがいの1Dayインターンシップの普及が採用ルールの有名無実化を促進する結果となりました。結果、経団連は今年2月10日の会長・副会長会議で、「1Dayインターンシップは実施しない」とする採用に関する行動計画の概要を了承するとともに、3月19日には、実効性を高めるために就職情報会社でつくる全国求人情報協会と日本私立大学団体連合会などが共同で記者会見し、就職ナビ上での「1Dayインターンシップ(1日インターン)」の取り扱いを停止すると発表しました。ただ、「インターンシップ」という名称を使用できなくなるものの、「1Day仕事体験」などの別名称での掲載は継続され、果たしてどこまで意味があるのか、疑問ではあります。
二つ目は、開催日のルールを強化したことです。会社説明会まがいの1Dayインターンシップを選考過程の一部と捉えた学生が、平日開催のインターンシップに参加するために授業を欠席するなど、学業への悪影響が目に余るようになっていました。通常のインターンシップも含めて、夏期休暇や冬期休暇などの長期休暇や、土日祝日に開催することで、学業への配慮を徹底することを求め、経団連も平日開催を廃止する方針を固めました。
これに歩調を合わせるように、就職情報会社も開催日ルールについて、各企業に順守を促すとしていますが、就職ナビ掲載時に平日開催の情報掲載を排除することが現実に可能なのか、疑問視をされてきました。また、全国求人情報協会に加盟する就職情報会社は、リクルートキャリアやマイナビ、ディスコなど、老舗の就職情報会社で構成されており、新卒系は13社にすぎません。近年成長が目覚ましい逆求人系就職サイトやクチコミ系就職サイトなどは加盟しておらず、そもそもこの開催日ルールには縛られません。