内定承諾に重視される「福利厚生」
ところで、学生が最終的に内定承諾を決めた理由(決め手)は何なのでしょうか。文系、理系別に見ていきましょう。文系の内定承諾を決めた理由(複数選択)を降順に並べた結果が[図表8]です。最も多かったのは、「仕事内容」(64%)を押さえて「福利厚生」の65%でした。実に3分の2近い学生が選択しています。学生が面接等で最も質問しにくいと感じている「福利厚生」が内定承諾の決め手のトップとなると、企業は積極的に「福利厚生」に関する情報を提供し、自社の「福利厚生」面での強みに焦点を当てて、徹底的に訴求していくことが重要です。3番目には「給与」(61%)が挙げられており、「残業時間」(35%)と合わせて、これらも質問しにくい項目の上位に位置していますので、丁寧な説明が求められます。次に、理系の内定承諾理由を見てみると[図表9]、最も多かったのは「仕事内容」の71%で、次いで「事業内容」(65%)が続きます。3番目と4番目には「給与」(63%)と「福利厚生」(58%)が入り、理系にとっても重要な情報であることが分かります。ただし、「残業時間」については、22%と文系よりもかなり低い割合となっており、文系ほど重要視していない様子がうかがえます。
文系・理系のどちらにおいても、「人事の対応・人柄」(文系:36%、理系:29%)と「社員の対応・人柄」(文系:32%、理系:31%)の評価が決して低くないことに注目します。インターンシップ、OB・OG懇談会、会社説明会・セミナー、面接、さらには対面することはないWEB上での動画紹介まで含めると、学生との接点は多岐にわたります。人選の重要性はもちろんですが、現在の新卒採用活動を取り巻く環境説明から、具体的な学生とのコミュニケーションの内容やスキルについて、研修やトレーニングを通じて積極的に向上していくことも大切です。
なお、内定承諾を決めたその他の理由としては、「自分の希望キャリアへの近道だと感じた(文系、早慶大クラス)」や「社員の経歴(理系、その他私立大)」、「大学の紹介(理系、その他私立大)」などが挙げられています。