面接開始時期でも大企業が先行

ここからは面接について取り上げます。

まずは、面接の開始時期を企業規模別に比較してみたところ、大企業での最多は「22年4月」の24%ながら、「22年1月」21%、「22年3月」の18%、さらには「21年10月以前」も15%と多くなっています[図表6]
[図表6]面接の開始時期(企業規模別)
政府の就活ルールにおける採用広報解禁前の「22年2月」までに面接を開始した企業は50%とちょうど半数にも及びます。採用選考解禁後の「22年6月」以降を予定している企業はわずか6%です。中堅企業では、最多は「22年3月」で27%、次いで「22年7月以降」が19%、「22年1月」と「22年4月」がともに15%で続きます。「22年2月」までに開始した企業は35%と大企業より少なく、逆に「22年6月」以降は19%と大企業の3倍ほどにもなっています。中小企業ではこの違いがさらに拡大し、最多は「22年7月以降」で23%となり、「22年4月」が20%で続きます。「22年2月」までに開始した企業は24%と、大企業の半分にも及びません。逆に、「22年6月」以降は36%と大企業とは30ポイントもの差がついています。

他の企業規模と比較して、大企業における選考面接開始の早さが顕著となっていることが分かります。中堅企業や中小企業では、早期から選考して内々定を出しても、後から内々定を出した企業にひっくり返されるという懸念から、早期よりも「22年6月」以降に選考時期の重点を置く企業が多くなっているようです。

次に、面接の開始時期を「ダイレクトソーシング実施の有無」で比較してみましょう
[図表7]面接の開始時期(ダイレクトソーシング実施の有無別)
ダイレクトソーシングを「実施している」企業群では、面接開始時期の最多は「22年1月」と「22年4月」で21%、次いで「22年3月」17%、「21年10月以前」、「21年12月」、「22年7月以降」がともに10%で続きます。「22年2月」までに開始した企業の割合は52%と半数を超え、前述した大企業の割合よりも高くなっています。「22年6月」以降は12%で、大企業と中堅企業の中間程度の割合となっています。

一方、ダイレクトソーシングを「実施していない」企業群を見ると、最多は「22年7月以降」で22%、次いで「22年3月」21%、「22年4月」19%と続き、「22年2月」までに開始した企業は26%と、「実施している」企業群のちょうど半分程度となっています。「22年6月」以降は30%と、中小企業ほどではないもののそれに近い割合となっています。前回の本稿では、ダイレクトソーシングを活用している企業群ほど、インターンシップの開催時期が早いことをお伝えしましたが、インターンシップと同様に、面接も早期に開始されていることがうかがえます。

ところで、「対面形式」と「オンライン形式」といった面接の形式によって、面接の内容に差異はあるものでしょうか。今回、面接形式を分けて、どんな面接内容を実施したのか(実施する予定なのか)を確認したところ、意外にも差はあまり見られませんでした[図表8]
[図表8]形式別面接の内容(複数回答)
最多は当然ながら「個人面接」で、いずれの形式でも9割以上の企業が実施しています。「個人面接」の実施割合において、「対面形式」よりも「オンライン形式」のほうが低くなっているのは、「個人面接」で行うことが多い最終面接を「対面形式」に切り替える企業が多くなったことが理由の一つではないかと推測されます。採用活動オンライン化の初年度だった2021年卒採用では、面接官を務める企業側も学生側もオンライン対応にまだ不慣れだったこともあり、グループ面接やグループディスカッションといった同時に複数の学生対応が必要とされる面接内容については、「オンライン形式」で実施する例は少なかったように思います。ただ、オンライン化3年目ともなると「オンライン形式」でも「対面形式」と全く同様に実施されていることがうかがえます。

ただ、「個人面接」を除き、その他の内容はすべて1~2ポイントの差しかない中で、唯一、5ポイントもの差が見られたのが「技術・専門面接」です。「対面形式」の8%に対して、「オンライン形式」では3%にとどまりました。「オンライン形式」であれば、参考資料をモニター横に置くなどのカンニング行為も可能だと判断されたのかもしれません。

「コミュニケーション能力」が不動の位置に

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