楽観派が増えてもプレエントリーは減らず
就職サイトや志望企業の採用ホームページでプレエントリーした社数を、文系・理系別に前年調査結果と比較した結果が[図表5]です。前回の報告で、2022年卒よりも就職活動に対して「楽観派」が増えていると書きましたが、それが理由であれば次の「1~20社」の割合も増え、「21社以上」(「21~40社から「101社以上」の合計、以下同じ)の割合が減少しそうなものです。ところが、「1~20社」の割合を見ると、文系は昨年53%→48%、理系も同65%→58%へと減少し、逆に「21社以上」を見ると、文系は昨年42%→43%、理系も同28%→31%へと微増しています。就職活動を楽観視した結果としてプレエントリー社数は減少してもよさそうなものですが、現実にはそうなっていません。
「0社」が増えた理由は、楽観視した結果と考えるよりも、プレエントリーをする前にインターンシップやセミナーに参加した企業の早期選考が開始され、プレエントリーをする必要性がなくなったと考えたほうがよさそうです。
対面形式の個別説明会参加者は半数以下
ここからは、企業が個別に開催するセミナーや会社説明会(以下、個別説明会)への参加状況を見ていきましょう。個別説明会の参加社数、さらに個別説明会参加者(参加社数「0社」以外の選択者)を対象に、そのうち対面形式とオンライン形式の参加社数を文系・理系別に表示したものが[図表6]です。個別説明会参加者の対面形式への参加状況を見ると、「0社」が55%と半数強を占め、対面形式の個別説明会に参加した経験を持つ学生は45%と半数に満たないことが分かります。参加社数でも「3社以下」(「1社」から「3社」の合計、以下同じ)が38%を占め、「6社以上」はわずか2%に過ぎません。
一方、オンライン形式への参加状況を見ると、「0社」は5%にとどまり、個別説明会参加者のほとんどはオンライン形式の説明会への参加経験を持っています。参加社数でも「6~10社」が20%で最も多く、「4~5社」16%、「2社」13%が続き、「6社以上」の割合は46%と半数近くに及び、「3社以下」は33%と3分の1程度です。
次に、理系を見ると、全体では「0社」が8%で、こちらも92%と大半の学生が個別説明会に参加しています。社数では「6~10社」が23%で最も多く、「4~5社」が21%で続きます。ただ、「21社以上」6%、「16~20社」4%と、大量社数の割合はそれぞれ文系の半分程度にとどまり、「6社以上」は43%と文系よりも10ポイントほど低い数字となっています。
個別説明会参加者の対面形式への参加状況を見ると、「0社」が文系よりも10ポイント多い65%に及び、参加経験者は35%と3分の1強にとどまります。参加社数でも「3社以下」が31%と大勢を占め、「6社以上」はわずか1%です。
オンライン形式への参加状況では、「0社」は文系より少ない4%にとどまり、文系と同様にほとんどの学生はオンライン形式の個別説明会に参加しています。参加社数でも「4~5社」21%が最も多く、「6~10社」20%が続きます。文系と比べると「3社以下」の割合が高く39%と4割近いものの、「6社以上」も35%を占めています。
個別説明会の参加形式としては、文系・理系ともに圧倒的にオンライン形式が多く、参加社数では文系が理系を上回る状況となっていることが見て取れます。
次に、個別説明会に初めて参加した時期を前年同時期調査と比較してみましょう[図表7](文理合計)。まず目につくのは、「前年6月以前」の大幅な伸びです。2022年卒では10%でしたが、2023年卒では18%へと8ポイントも伸び、全期間を通して最も多い割合となっています。「前年7月」「前年8月」も微増しており、この3項目の合計では10ポイントの増加となります。
これらの変化はその月にだけに現れるのではなく、初めて個別説明会に参加した月以降は、ずっと他の企業の個別説明会にも参加していた可能性が高く、その月以降にも影響が続くということです。2023年卒の個別説明会参加時期がいかに前倒しされていたかがお分かりいただけると思います。