半数以上が入社前に配属を告知
内定辞退と合わせて、入社後の早期退職にも影響を与えているのがいわゆる「配属ガチャ」、つまり、自分の希望と異なる部署や勤務地への配属です。昨今、この「配属ガチャ」による内定辞退や早期退職を抑制するために、本人に配属先を伝えるタイミングを早める動きがあると言われています。その実態を探るべく、今回の調査では配属先を伝えるタイミングについて尋ねてみました。その結果、全体では、かつて私たち昭和世代では一般的だった「新入社員研修終了時」(24%)を抑えて、「選考途上」が25%でトップとなりました[図表4]。大企業では7%と少数派にとどまりますが、中堅企業で32%、中小企業では35%に達し、いずれも規模別では最も高い割合となっています。大企業で26%と最も高い「新入社員研修終了時」は、中堅・中小企業においてもそれぞれ20%・25%で、「選考途上」に次いで高い割合となっています。
配属先を伝えるタイミングについて、「入社式」を起点に、「入社前」(「選考途上」~「年明けから入社式までの間」の合計)と「入社後」(「入社式当日」~「新入社員研修終了時」)で比較してみた結果が[図表5]です。「入社前」が全体では54%と半数を超え、大企業と中小企業ではいずれも51%で約半数、中堅企業では63%と6割を超えていることが分かりました。この設問は今回初めて聞いたものになりますので、過去との数値比較ができないものの、私は配属告知タイミングが随分早まっているものと感じています。今後、この動きはさらに広がっていくものと思われます。
2024年度も初任給アップが続く
政府の働きかけや物価高の影響もあり、2023年度は本当に久しぶりに初任給アップの動きが広がりました。あるメガバンクでは、16年ぶりの初任給改定ということで一気に5万円のアップとなるなど、アップ額も話題となったものです。2024年の春闘を前に、政府は経団連などの団体に対して引き続き賃金アップを要請しており、2024年度の新卒初任給についてもアップの動きは変わらないものと思われます。2024年4月入社者の初任給改定の予定を確認したところ、全体では「変わらない」が56%で最も多いものの、残り44%の企業では増額を予定しています[図表6]。増額幅の割合で最も高かったのは「5千円から1万円未満の増額予定」の20%で、次いで「5千円未満の増額予定」14%などとなっています。
増額幅の割合で最も高いのは、大企業と中小企業では全体と同じ「5千円から1万円未満の増額予定」で、それぞれ28%、20%となっています。それに対して、中堅企業では「5千円未満の増額予定」が17%で最も高く、「5千円から1万円未満の増額予定」は10%にとどまります。
今回、「3万円以上の増額予定」と回答した企業は1社もありませんでしたが、「1万円以上の増額予定」(「1万円から2万円未満の増額予定」と「2万円から3万円未満の増額予定」の合計)とした企業が、大企業と中小企業ではいずれも13%だったのに対して、中堅企業では4%にとどまるなど、増額幅は中堅企業が他の企業規模に遅れをとっているようです。