ProFuture代表の寺澤です。
政府は、2023年12月8日に開催された「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」において、2025年度末卒業・修了予定者(現2年生/学部4年生)の日程について、新たな就活ルールの適用を確認しました。
第154回 大手も5割が【24卒採用】継続…内定者充足率・内定辞退率の現状は? 【25卒採用】は競争激化の兆し
既に2023年4月に示されていた通り、従来と同様、「採用広報開始3月1日、採用選考開始6月1日、正式内定開始10月1日」の日程を原則としながらも、人工知能(AI)などの高い専門的知識や能力を有すると判断された学生については、採用広報期間を短縮して、3月からの選考活動を認めるというものです。ただし、こちらには前提条件がついており、卒業・修了年度に入る直前の春休み以降に実施される2週間以上の高度専門型インターンシップを経ていることが求められ、さらに、新卒一括採用に係る全体の採用計画、学生に求める学修成果水準・専門的能力を公表することが要件として追加されています。

「卒業・修了年度に入る直前の春休み以降」となると、1月以降に実施される冬期インターンシップのみが対象となり、夏期インターンシップや近年増えている秋期インターンシップは対象とならないことになります。また、2024年卒学生の就職活動では、3月は既に面接選考のピークとなっており、文系も理系も7割以上の学生が面接を受けています(本連載「2023年10月」参照)。3月時点では、既に就職活動を終えている学生もいるような実状の中で、高度人材についての選考開始時期を3月に早めるという今回のルール変更は、どんな意味を持つのか、甚だ疑問としか言いようがないですね。

HR総研では、価値ある情報をこれからもしっかりとお届けしてまいります。本年も何とぞよろしくお願いいたします。

24卒の採用計画達成は4分の1

さて今回は、HR総研が実施した「2024年&2025年新卒採用動向調査」(2023年11月29日~12月8日)の結果をお届けします。ぜひご参考にしてください。

まずは、終盤に差し掛かった2024年卒採用の現状から見ていきましょう。2024年4月入社の採用計画に対する12月初旬時点での内定者充足率を見ると、全体では計画数を達成した「100%以上」を選択した割合は25%と、ちょうど4分の1にとどまります[図表1]。「90~100%未満」(20%)と「80~90%未満」(11%)までを加えた、「採用計画数に対して8割以上」(以下同じ)の割合でようやく過半数に達します。バブル期において、“採用計画数確保が大優先”という採用方針から、採用基準を極端に下げてまで採用計画数を追わない採用方針に変えた企業が多くみられましたが、2024卒採用も企業にとって厳しい結果になっていることは明白です。内定者が1人もいない「0%」の企業も1割あり、「採用計画数に対して5割以下」(「0%」~「30~50%未満」の合計、以下同じ)という企業が25%で、全体の4分の1になります。
2024年4月入社の採用計画に対する内定者充足率
従業員規模別で見ると、「採用計画数に対して8割以上」の企業は、1001名以上の大企業でこそ76%と4分の3に達しますが、301~1000名の中堅企業と300名以下の中小企業では、それぞれ46%、47%と半数を下回る状況になっています。逆に、「採用計画数に対して5割以下」の割合は、大企業ではわずか9%ですが、中堅企業では24%、中小企業に至っては38%と4割近くにも達し、従業員規模が小さくなるほど採用活動により苦戦している様子が分かります。

24卒採用継続企業が大手でも5割

では、採用活動を継続している企業の割合はどうなっているのでしょうか。こちらは意外な結果となっています。

2024年卒採用の活動継続状況を従業員規模別に並べてみた結果が[図表2]です。採用計画数の達成状況では、規模による差異がはっきり表れていましたが、こちらでは規模にかかわらず、採用活動を終了した企業と継続している企業が見事に半々となっています。大企業でも半数が採用活動を継続していることも驚きですが、採用計画が未達であっても24卒採用を終了してしまった中堅・中小企業が多いことにも驚きます。

採用計画が未達で終了した企業は、キャリア採用にシフトしたか、あるいは24卒採用は諦めて次の25卒採用にシフトしたということなのでしょう。ここからも、採用計画達成が“必達目標”とは捉えられていない企業の方針の変化が見て取れます。
2024年卒採用の活動継続状況
複数内定を取得した学生が多かったことから、内定辞退が増えた――との声をよく耳にしますが、内定辞退率の実態はどうなのかを確認した結果が[図表3]です。全体で見ると、内定辞退が1人も出なかった「0%」が29%と約3割、「10%未満」が15%、「10~30%未満」が19%で、これらを合計した「内定辞退率3割未満」(以下同じ)の割合は63%と6割を超えます。逆にいえば、「内定辞退率3割以上」の割合が4割近くあるということになります。
2024年卒採用の内定辞退率
状業員規模別に見ると、内定者数の影響が大きいため、「0%」の割合は中小企業が最も高く、56%と過半数に及ぶのに対し、中堅企業では17%、大企業に至ってはわずか7%にとどまります。ただ、「10%未満」の割合は、大企業の28%に対して、中堅企業は12%しかなく、「0~10%未満」の割合では大企業のほうが高くなります。

中堅企業で割合が最も高かったのは「30~50%未満」の27%であり、大企業では「10%未満」と「30~50%未満」がともに28%で並んでいます。また、どの企業規模でも内定辞退率「100%」という企業が、2~4%あります。

「100%」の企業はもちろんのこと、内定辞退率が5割を超える企業においては、ターゲットが自社に適合しているか、選考方法や内定出しのタイミングはどうかなどを徹底的に検証してみる必要がありそうです。

半数以上が入社前に配属を告知

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