内定後、内定承諾まで1週間が半数以上
次に、学生が「内定承諾した企業を初めて就職先候補企業として認知した時期」を文系と理系で比較してみましょう。文系で最も多かったのは「2023年3~4月」で、その割合は22%でした[図表4]。それに続き、「2022年10~12月」が20%、「2023年1~2月」が17%と続き、合計で「2022年10月~2023年4月」が60%に達しました。一方、理系で最も多かったのは「2022年3月以前」で、その割合は22%であり、文系で最多だった「2023年3~4月」は16%にとどまりました。これらからも、理系のほうが早くから志望企業を形成し、第一志望の企業からの内定を得られていることが示唆されています。文系と理系の両方で最も多かったのは「1週間以内」であることは同じですが、文系がちょうど半数の50%なのに対して、理系は65%と3分の2近くに達しています。「2週間以内」は文系19%、理系17%とそれほどの差はありませんが、それよりも長い「1カ月以内」となると、文系の19%に対して理系は10%と大きな差が開きます。それ以上の期間では、すべて文系のほうが高い割合となっています。
推薦制度を利用しての応募の場合、企業から内定が出たら原則、承諾することを求められますので、「1週間以内」の割合において理系の割合のほうが大差で高いことは理解できます。また、理系のほうが、就活を終了してしまえるほどの第一志望企業からの内定割合が多かったことも影響しているでしょう。
また、文系学生の中で「3~4カ月以内」から「半年より長期間」までの範囲に入る割合が4%あることが気になります。これは、志望企業が複数あり、一部の企業の選考スケジュールが内定先企業のスケジュールと大きく異なっていた(極端に遅かった)場合に起こるものです。遅いスケジュールの企業の結論が出るまで内定承諾の決断はしづらいのは理解できるものの、さすがにこれだけ長期間にわたり待たされる企業側のことを考えると、「待たせ過ぎでしょう」と言いたくもなります。逆に、企業には「よく待てましたね」とたたえたいところですが、考えようによっては、学生の抱えている不安を解消できていなかったからこそ、陥った事態だと言えなくもありません。このように、内定を受けた学生にとって、不安を解消し、内定承諾をスムーズに進めるためのサポートが必要です。