最終面接は対面形式への回帰が進行中

次に、コロナ禍が落ち着いて面接の形式に変化があったかどうかを見てみましょう。まず、一次面接を受けた企業について、面接の形式の割合として最も近いものを選んでもらった結果が[図表3]です。「オンライン:対面=10:0」と回答した割合が文系・理系ともに最も多く、文系では39%、理系では53%と半数以上を占めました。次いで、「オンライン:対面=8~9:1~2」が文系で32%、理系で22%となり、両者を合計した「オンライン形式が8割以上」の割合は、文系で71%、理系でも75%といずれも7割を超えています。
[図表3] 一次面接のオンライン・対面比率
一方、「オンライン:対面=0:10」と「オンライン:対面=1~2:8~9」を合計した「オンライン形式が2割以下」の割合は、文系で8%、理系でも10%にとどまりました。一次面接においては、オンライン形式が依然として主流であり、受験者数の多さや会場の手配、面接官の調整などを考慮すると、オンライン形式のほうが効率的であると考えられます。また、遠方からの学生が参加しやすい点も、オンライン形式が選択される理由の一つでしょう。

続いて、最終面接を一度でも受けたことのある学生を対象に、面接の形式の割合として最も近いものを選んでもらった結果が[図表4]です。一次面接とは異なり、「オンライン:対面=0:10」と回答した割合が最も多く、文系では44%、理系でも34%に達しました。また、「オンライン:対面=1~2:8~9」と回答した割合も文系では19%、理系でも13%と、いずれも高い水準を示し、両者を合計した「オンライン形式が2割以下」の割合は、文系で63%と6割を超え、理系でも47%と半数近くに上りました。一方、「オンライン:対面=10:0」と「オンライン:対面=8~9:1~2」を合計した「オンライン形式が8割以上」の割合は、文系では20%、理系では26%と、文系と理系でやや差が見られます。理系学生の多忙さを考慮して、往復の移動時間がなく、拘束時間を短縮できるオンライン形式が選択される割合が多いと推測されます。
[図表4] 最終面接のオンライン・対面比率
2021年卒採用や2022年卒採用など、コロナ禍の前半では大企業を中心に最終面接までオンライン形式で面接が行われる企業が数多くありましたが、企業や学生からは動機づけや選考の制約があるという声も多く寄せられました。そのため、2023年卒採用からは対面形式への回帰が進んできたといえますが、2024年卒採用ではさらにその傾向が強まったといえそうです。

対面派の文系とオンライン派の理系

では、学生は「オンライン形式」と「対面形式」、どちらの面接形態を望んでいるのでしょうか。望ましい面接形態について聞いてみたところ、文系学生の中では「対面形式」を支持する割合が37%で、「オンライン形式」(32%)を支持する割合よりも高いことが分かりました[図表5]。一方、理系は「オンライン形式」を支持する割合が37%に対して、「対面形式」を支持する割合は28%と、3割を下回っています。したがって、企業が理系学生に対して「オンライン形式」での最終面接をいまも採用している背後には、これらの学生の選好も影響している可能性があることが示唆されています。
[図表5] 好ましい面接形態
学生がそれぞれの面接形態を支持する理由を以下に抜粋して紹介します。

【オンライン形式】
・リラックスして臨める、就活生・面接官ともに時間やお金をかけなくてよい、無駄が省ける(文系・上位私立大)
・交通費や手間が省けるので、対面形式だった場合に移動に費やしていた時間を他社の選考や説明会などに充てることができ、時間を有意義に使えることがとてもありがたかった(文系・上位私立大)
・どこにいても面接を受けられる(文系・上位私立大)
・時間の融通が利きやすく、本社が遠方にある企業でも受けることができる(文系・上位私立大)
・対面と比べて緊張しないため。入室などのルールがないため(文系・その他国公立大)
・1日にいくつも面接を入れられるから(文系・早慶大クラス)
・スーツやパンプスなど、面接内容以外の不安要素がない。一次面接から対面の会社は入社後にオンラインでの働き方ができない印象を受けた(文系・早慶大クラス)
・地方に住んでいるため、対面で東京や大阪まで行くのに丸1日以上費やす必要があり、効率が悪い(理系・旧帝大クラス)
・上半身だけきっちりした格好であればOKだから(理系・上位私立大)
・カンニングペーパーを見ることができるため。自分の顔も画面に映るため、笑顔や表情を確認しながら面接を受けられるため(理系・上位国公立大)
・学会と日程が重なる場合があり、対面だと参加できなかったから(理系・上位国公立大)
・交通費がかからないことはもちろん、時間ギリギリまで伝えたい内容の概要を頭に入れることができるし、対面面接での礼儀作法みたいなものに気を取られすぎて、本当に伝えたいことがうまく伝えられなかったら嫌だから(理系・その他私立大)
・地元企業を受けていないため、オンラインのほうが移動に時間がかからない(理系・その他国公立大)
・オンラインのほうが時間的拘束も少なく、メモを取りながら面接を受けられる(理系・早慶大クラス)

【対面形式】
・直接会ったほうが本来の自分自身の姿でお話しできるため(文系・上位私立大)
・対面のほうが場の雰囲気をより正確に感じ取りやすい(文系・上位私立大)
・実際の会社の雰囲気や社員の方々の雰囲気を感じることができたから(文系・上位私立大)
・表情、しぐさ等も加点要素になり得るため。目を見て話せることで、アピールにもつなげられる(文系・上位私立大)
・通信トラブル等の心配がない(文系・早慶大クラス)
・オンラインだと自分も相手も堅い印象になりがちで、対面ほど場が和まない(文系・旧帝大クラス)
・オンラインと比べて緊張したが実際の業務では対面で接客するので、より職場の雰囲気や人事の方の印象が伝わってきたから(文系・その他私立大)
・会話が互い違いにならないこと。相手の目を見て話せたほうが緊張しないこと(文系・中堅私立大)
・人事担当者との会話はオンライン上でも問題なく取れるが、担当者の雰囲気や面接時の態度、面接前後に通る会社の雰囲気、会社の周りの街の様子(入社することになったら通勤するので非常に大切だと思う)などはオンラインでは得られない(文系・中堅私立大)
・話すタイミングや表情などをつかみやすい(理系・上位私立大)
・オンラインだと目線の位置が定まらない(理系・上位国公立大)
・対面のほうが自分をアピールしやすい(理系・上位国公立大)
・インターンに参加していない会社だと、一度も会社や会社の人と会わずに入社することに不安を覚えたため(理系・上位国公立大)
・誠意がより伝わる。会社見学も同時にできるため企業を見定める材料が増える(理系・上位国公立大)
・オンラインだと思いが伝わらず、場の雰囲気なども察しづらいことから、逆に緊張する。また、オンラインは一人ひとりが話す時間が対面より区切られているため、コミュニケーションという感じがせずやりづらかった(理系・その他私立大)

面接ピークは「本年3月」

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