多様性をまとめるリーダーのあるべき姿とは
佐藤:では早速ですが、今日はいくつか質問をご用意しています。まず1つ目、廣瀬さんにとって「多様性をまとめるリーダーのあるべき姿」をお聞きしたいと思います。廣瀬:大事なスタンスとしては「みんなのことを信じる」ということじゃないでしょうか。多様性があったら嫌やとか、怖いとか、同じことを考えている人ばっかり集まったほうが楽でいい、というスタンスでいると難しいと思うんです。もちろん大変なことは起きるわけですけども、今までにない面白いことが生まれると信じて皆さんと接せられるかっていうのが1つ大事なポイントかなと思います。そして、まず自分自身がどんな人間になりたいとか、どんなチームを作りたいとか、何に対して誇りを持っているとか、そういったことをきっちりと持つこと。たとえば外国人からいろんなことを聞かれたりとか、どう思っているみたいなことを言われたりした時に、答えられないと、この人は芯がないなとか何を考えているか分からないなとなってしまいます。自分の大事にしていることをちゃんと伝えられるかどうかっていうのは大事なことかなとまず思いましたね。
佐藤:憧れの存在になる、という言葉は常に伝えていたんですか?
廣瀬:言葉自体は当たり前で、お飾りになってしまうので、機会があると言うようにしていました。記者会見でも言えますし、普段のミーティングでも、例えばミスした時とか、練習中にめっちゃミスが多かった時。そもそもなんのためにやっているんだっけみたいなことを言うと、俺らって憧れの存在になりたかったな、それでこんなパフォーマンスしていていいんだっけみたいな。俺らの目的と普段のアクションを紐づけるみたいなこともすごく大事かなと思ったので。そういうこともやっていましたね。
佐藤:そういう意味だと勝つだけじゃ駄目っていうところもあるんですね。勝つだけじゃなくて勝ち方とか。
廣瀬:まさに仰る通りですね。試合の勝ち負けだけでなく、憧れの存在になりたいのであれば、例えば子供達に接するときも憧れの存在に近づけるようにできることがあるし、試合に出ない人でもやれることはあるので、ちゃんと目的に対してアプローチして、それがあった上で目標があるという。その先に、勝つとか、ベスト8とかが出てくるのかなと思っています。
佐藤:なるほど。稲垣さんにお伺いしたいんですけど、ビジネスの世界でもこれは同じことが言えますよね?
稲垣:同じですね。日々の仕事は自分に任された業務に落ちるわけで、時に作業化されたこともあるわけですが、組織全体はその集合体としておおきな方向に向かっている。それがどこに向かっているのか。いわゆるビジョンやミッションということですが、それをただ言葉にして壁にかけておくだけではなくリーダーがことあるごとに言い続ける。すると、自分の任された仕事だけではなく、業務以外の発言や行動も変わってくる。まさに多様性が加速している現代の組織が目指すべきマネジメント論だと思います。