オンライン化対応できていない企業は大きく減少
今度は、企業ごとの会社説明会やセミナーの開催形態について見てみましょう。新型コロナウイルス感染症対策として急速に普及したオンライン説明会ですが、昨年はすぐに対応できた企業とできなかった企業の二極化が見られました。今年はどうだったのでしょうか。全体では、最も多かったのは「オンラインのみ実施した」の38%、続いて「(オンラインと対面型の)いずれも実施した」が22%、「対面型のみ実施した」が10%となりました[図表3]。「いずれも実施していない」(19%)には、オンライン対応ができていないという企業だけでなく、採用活動自体を実施しなかった、あるいは「個別採用」に注力した採用手法を採ったがために、説明会自体を実施せずに個別面談からスタートした企業も含まれるものと思われます。
中小企業では、「いずれも実施した」が29%で最も多くなっています。「対面型のみ実施した」割合は中小企業でも14%にとどまり、参加人数を考えてオンライン化対応の必要性を感じなかった企業もあることを考えれば、ネット環境の不備やノウハウ不足を理由としてオンライン化対応ができなかった例は、この一年で大きく減少したと推測されます。
中小企業は対面型説明会を支持
続いて、「いずれも実施した」企業を対象に、オンラインと対面型の開催形態でどちらがより有効と感じたかを聞いた結果が[図表4]です。前項で、オンライン化対応の二極化は解消されたと述べましたが、昨年オンライン化対応ができず、今年初めてオンライン化対応をした企業の割合が多い中小企業では、なんとかオンラインで開催してはみたものの、蓄積されたノウハウがあるわけではなく、運営については一苦労あった企業が多いのかもしれませんね。
最終面接までオンラインで完結企業は減少
今度は「面接」についてです。6月前半の段階での採用活動(面接)の状況を聞いてみたところ、「面接選考は終了した」(「オンライン利用あり」と「オンライン利用なし」の合計)企業は、最も少ない中堅企業で12%、最も多い大企業でも17%と、従業員規模による差異はそれほどありませんでした[図表5]。「オンライン面接のほか、対面での面接も実施している」が、従業員規模を問わず最も多くなっていることにより、昨年はすべての面接をオンラインで完結させた企業が多かった大企業においても、今年は対応が大きく変わっていることが見て取れます。会社説明会やセミナーについては、その有効性をオンラインも対面型も「同程度」としていた大企業も、こと面接については事情が異なるようです。
そこで、オンライン面接を導入している企業を対象に、最終面接の実施形態を確認してみました。大企業では、45%と半数近い企業が今年も「全員、オンライン面接のみで実施」しているものの、「対面型とオンライン型を選択しながら実施」している企業が39%と4割近くあり、さらに3%と少数派ではあるものの「全員、対面型の面接のみで実施」している企業もあります[図表6]。
なお、中堅企業と中小企業では、「全員、オンライン面接のみで実施」している割合は、23%、20%と、大企業の半分程度にとどまり、対面型の面接を採り入れている割合のほうが圧倒的に多くなっています。