多様な働き方を担保する労務管理は、まずは従業員の意識変革から

制度・ツールなどのハード面の見直しに加えて、新しい働き方に対する従業員の意識・知識というソフト面の更新も非常に重要です。繰り返しになりますが、働き方の柔軟性を担保した結果、過重労働を誘発し法令違反につながるのでは本末転倒です。過重労働は最たる例ではありますが、通常は従業員の意識調査などで労務管理上の問題を「意識・知識・行動」の観点で分類し、「意識の変革」、「知識の習得」、「行動の変革」を促す施策を検討していきます。下図のアプローチのように、問題点を把握後に実現したい状態目標(あるべき姿)を定め、必要な施策の検討と導入を進めます。

図2:知識・意識・行動の変革アプローチ例
デジタル時代の労務と人事【1】(第12回)
上図の詳細アプローチについては次回以降に解説しますが、施策の実現にはデジタルの力が必要となります。例えば、「知識の習得」のために集合研修を増やした結果、総労働時間が増加するという事態を招かないよう、既存業務の効率化とあわせて考える必要があります。効率的かつ効果的な知識習得の機会を設けることが重要です。これには、集合型研修ではなくオンラインベースの学習と理解度チェックが有効な手段となります。また、「行動の変革」には労務管理と周辺領域を含めたデジタライゼーションが不可欠になるでしょう。

次回も引き続き、デジタルツールを活用した労務管理における意識・知識・行動の変革推進について解説していきます。
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