2023年の平均残業時間は「21.9時間/月」。1日あたり1時間程度の残業か
政府が推進する「働き方改革」では「時間外労働の上限規制」が導入され、その適用が猶予されていた建設の事業や自動車運転の業務などにおいても、2024年4月1日より上限規制が適用となる。そんな中、企業は社員の残業時間を適切に管理する必要があるが、アフターコロナのフェーズに入って経済活動が再開されるなか、社員の残業時間はどのように変化しているのだろうか。はじめに同社は、「2023年4~6月の平均残業時間」を尋ねた。すると、1ヵ月あたりの平均残業時間は「21.9時間」で、前回調査(2022年調査)と比べて0.3時間減少したという。1ヵ月の実働日数を20日とした場合、単純計算で1日あたり1時間程度の残業が行われていると示された。
平均残業時間の少ない職種は「一般事務」。前回から7ランクアップ
次に同社が、「残業時間の少ない職種」を前回調査と比較して見たところ、残業時間が最も少ない職種の1位は、「一般事務」(前回調査より-2.7時間)で10.6時間だった。以下、2位が「秘書/受付」(同+1.4時間)で11.4時間、3位が「医療事務」で12時間、4位が「美容関連職(理美容/エステ/マッサージ)」で13時間、5位が「営業事務」で13.3時間となり、それぞれ前回調査の順位と大きく変わらなかった。TOP20の中で前回調査と比べて残業時間が大きく減った職種は、15位の「品質管理/品質保証(素材/化学/食品系)」(前回:22.2時間→今回:15.5時間)、17位の「社内SE」(21.5時間→16時間)、19位の「Webエンジニア」(24.9時間→17.4時間)、20位の「食品メーカーの営業/消費財メーカーの営業」(24.1時間→18.2時間)の4職種で、いずれも前回TOP20圏外からのランクインとなった。
職種分類別で見ると、1位の「一般事務」を含む「事務/アシスタント」が10位までに5職種、20位以内に7職種がランクインした。
平均残業時間の多い職種は2年連続で「プロデューサー/ディレクター/プランナー」
同様に「残業時間の多い職種」を見たところ、1位は「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)」(前回より+5.1時間)で、42.2時間となった。小説やマンガ、アニメなどの人気の高まりや、コロナ禍が明けたことでリアルイベントの需要が回復し、紙媒体や告知用広告のニーズが戻ったことなどが残業時間増加に影響したと考えられる。他方で、TOP20の中で最も残業時間の増加幅が大きかったのは「店長」(+11.1時間)で30時間だった。この結果を踏まえて同社は、「コロナ禍で停滞していた経済活動が戻りつつあることで小売店や飲食店への来店者が増える一方、店舗ではスタッフの採用が間に合わず、深刻な人材不足が課題になっているケースも少なくなく、そのことが残業時間増加に影響したのではないか」と推察している。
また、職種分類別で見ると、「営業」が10位以内に3職種、20位以内に6職種入り、前回(10位以内に1職種、20位以内に3職種)から増加した。前回調査では、コロナ禍で営業活動のオンライン化が進んだことを受けて一部の営業職で残業時間が減る傾向が見られたが、今回20位以内に入った6職種は、すべて前回より残業時間が増加した。同社は、「背景に、経済活動の回復に伴って営業活動が活発になり、商談の一部も対面に戻って移動時間が増えているといった要因が考えられる」との見解を示している。
すべての年代で「事務/アシスタント」の平均残業時間が最も少ない数値に
最後に同社は、「年代」と「職種分類」ごとの平均残業時間を調査し、前回調査と比較した。その結果、前回と同じくすべての年代で「事務/アシスタント」が最も少なかった。また、「事務/アシスタント」と「IT/通信系エンジニア」は、前回調査と比べすべての年代において平均残業時間が減少した。残業が多い年代×職種分類のTOP3は、1位が前回に引き続き「30代×クリエイティブ」の30.9時間、2位も前回同様に「30代×建築/土木系エンジニア」の30時間となり、3位は「50代×建築/土木系エンジニア」の28.5時間だった。