味の素は「福利厚生」をきちんと説明
3位は味の素(同1位)。食品・飲料系は就職人気企業ランキングの人気業種ですが、今回の好感度ランキング20位以内に入ったのは味の素とキリン(10位)の2社だけでした。味の素では「規模の大きさ」や「雰囲気」を挙げるコメントが多く、下記のコメントからは丁寧に説明していることが分かります。人事担当者の中には、福利厚生に強い関心を持つ学生を嫌う人もいます。しかし、福利厚生は労働環境に関する事項であり、コンプライアンス重視の姿勢を示す意味でも、十分に説明する必要があるでしょう。年々、学生の福利厚生への関心度は高くなっており、2020年卒学生の応募先企業の選社理由では、文系・理系ともに「仕事内容」「給与・待遇」に次ぐ3位となっています(2019年9月の本稿参照)。
・社員の方の人柄の良さと仕事にかける情熱を感じられたから(文系・早慶大クラス)
・入社後の福利厚生をきちんと説明してくれた(文系・中堅私立大)
・一対一で話す時間が長かった(理系・旧帝大クラス)
・どんな質問にも答えていただいた(理系・旧帝大クラス)
>>参考:第102回 人事担当者の人柄や対応の良さで志望度は上がる ── HR総研「2020年卒学生 就職活動動向調査」
NTTデータは女子学生限定の説明会を実施
味の素と同数25ポイントで3位となったのはNTTデータ(同3位)。味の素のポイントが文系11ポイント、理系14ポイントに対して、NTTデータも文系10ポイント、理系15ポイントと文理の比率もほぼ同じです。2社とも文系よりも理系の支持が高いことが特徴です。コメントを読むと、何度もセミナーを実施しており、しかもいろんな種類がありそうです。OB・OG主催のセミナーを大学ごとに実施するほか、女性限定の説明会もあるようです。男子学生が出席していると、女子学生が聞きづらい質問もあるはずでしょうし、女性限定の説明会は有効だといえます。
・単体だけでなくNTTデータグループの説明会もしてくれたため(文系・早慶大クラス)
・女性限定の説明会があり、育休や産休について質問しやすかったから(文系・上位国公立大)
・大学ごとにOB・OGが主催してくれたから(理系・旧帝大クラス)
・何度もイベントの案内をしていただき、何度も違う社員さんとお話しする機会があったから(理系・上位私立大)
外資系コンサルのアクセンチュアは「知るカフェ」活用
5位はアクセンチュア(同13位)。外資系コンサルの代表的な企業であり、近年、働き方改革の成果もあり、上位校学生からの人気が高まっています。コメントを読むと、旧帝大クラス、早慶クラス、上位国公私立大クラスがほぼ3分の1ずつの割合になっています。就職偏差値が高い企業と考えられているアクセンチュアですが、セミナーはオープンな雰囲気が支持されているようです。「きれい」「丁寧な対応」「明確」などの言葉が並んでおり、学生には総じてスマートな印象があるようです。
「知るカフェ開催」とも書かれていますが、「知るカフェ」とは上位校大学近辺に立地する、大学生と大学院生限定のカフェの一つです。企業がスポンサーになり、学生は無料で利用できます。近年はこういった新卒採用を意識したカフェが、新たな採用プロモーション手法の一つとして増えてきています。エリート企業の印象があるアクセンチュアですが、社員と学生が話すセミナーはカジュアルに運営されているようです。
・ラフな感じだったから(文系・旧帝大クラス)
・知るカフェ開催。OBの人と直接話せ、企業の印象が上がった(文系・早慶大クラス)
・キャリアプランの透明性が高かったから(文系・早慶大クラス)
・社員さんが輝いている雰囲気を感じた(文系・上位国公立大)