「ブラック企業」=「残業代が支払われない」
次に、何かと話題になる「ブラック企業」についても確認しましたので、その結果を見てみましょう[図表5]。まずは、自分が志望する企業が「ブラック企業」かどうかは気になるのかを聞いたところ、「かなり気になる」63%、「少し気になる」29%となり、合わせると9割以上の学生が「気になる」と回答しています。次に、何をもって「ブラック企業」だと思うのかを聞いてみました[図表6]。トップは、昨年同様「残業代が支払われない」で、89%とほぼ9割の学生が「ブラック企業」の特徴であると認識しているようです。次点の「パワーハラスメントが多い」(65%)とは、20ポイント以上も差があり、断トツのトップとなっています。
残業の許容時間は月間30時間まで
その残業時間について、具体的な許容時間を聞いてみました。まずは、文系と理系での意識の違いを見てみたいと思います[図表7]。文系、理系ともにボリュームゾーンは「月30時間くらいまでの残業ならいい」で、文系の37%、理系の46%が選択しています。通常月であれば、1日平均1時間~1時間半といったところでしょうか。「残業はないほうがいい」「月15時間くらいまでの残業ならいい」までを合わせると、文系では85%、理系でも77%に達します。大学クラスにより大きく異なる残業観
残業に対して、文系よりも理系のほうがやや許容範囲が広いのは、研究室での実験経験が大きいと思います。実験を一度始めたら、均一の実験環境でのデータを取得する必要性を考えれば、時間で終了するのではなく、ある区切りまでは何時になろうが実験を続けなくてはなりません。研究室での経験は、学問というよりも仕事に近いのだと思います。今回、残業時間に対する学生の意識について、面白い結果が出ましたのでご紹介します。文系、理系の比較だけでなく、文系の中での大学クラス別の比較をしてみたところ、[図表8]のような結果が得られました。
これに対して、中堅私大クラスを見てみると、「残業はないほうがいい」とする学生は27%にも達し、「月60時間くらいまでの残業ならいい」とする学生はわずか5%にすぎません。「月80時間くらいまでの残業ならいい」「月80時間を超える残業でも構わない」とする学生に至っては皆無です。[図表8]を見ると、見事に右肩下がりのグラフ傾向にあることが分かります。上位校の学生ほど「バリバリ働く派」が多く、そうでない大学の学生ほど「ライフワークバランス派」が多いと言えそうです。残業の多さや許容度で評価するのではなく、あくまでも成果で評価すべきなのは当然ですが、残業をしてでも成果を出そうとする意欲の表れとも受け取れるのではないでしょうか。