4月面接解禁時代には大学格差は歴然
かつて、「4月 面接選考解禁」のスケジュールであった時代の4月下旬時点での調査では、「旧帝大クラス」「早慶クラス」と「その他私立大学」では30ポイント以上の開きがあったものです。それと比べると今年の内定率の状況は、解禁1カ月時点ですでに大学間格差はほとんどない状況にあるといえます。[図表3]は、「4月 面接選考解禁」の最後の年であった2015年卒の学生に対して、面接解禁から約1カ月後の時期に調査した大学クラス別の内定率と今年の内定率を並べたものです。2015年卒では、最高は「早慶クラス」の77%に対して、最低は「その他私立大学」の38%と実に40ポイント近い開きがありました。これに対して、2018年卒では先に見たように、最高は「旧帝大クラス」と「早慶クラス」の91%、最低は「中堅私大クラス」と「その他私立大学」の78%で、その差は13ポイントしかありません。
もう一つ、かつてあった大学間格差の背景には、中堅・中小企業の選考タイミングの違いもあります。4月解禁時代には、大手企業の選考は4月末から5月半ばには落ち着くため、その後に選考活動を展開する中堅・中小企業が多くありました。もちろん一部には解禁前に内定を出す中堅・中小企業もありましたが、早期に内定を出して、後から大手企業の内定出しによってひっくり返されるよりは、大手企業が落ち着いてから選考したほうが無駄にならないと考える企業が多かったのです。そのため、解禁1カ月後の内定率の差は、大手企業からの内定率の差に近いものがありました。
ところが、2016年卒採用で「8月選考解禁」が打ち出されると、大手企業の選考が落ち着くのを待っていられないとばかりに、早期から選考活動をする中堅・中小企業が一気に増えたのです。その後、2017年卒採用からは「6月選考解禁」へと2カ月前倒しになったわけですが、いったん前倒しとなった中堅・中小企業の選考活動は、大手企業の選考を待つことなく、さらに早期化することとなったのです。つまり、2016年卒採用からは、解禁後1カ月の時点では大手企業だけでなく、中堅・中小企業の選考も進み、それら企業からの内定も出ている状況での内定率調査となったわけです。
[図表4]は、理系について同様に比較したグラフになりますが、文系と同様の傾向が見て取れます。
内定先の企業規模では依然として大学格差
内定率では、大学間格差は減少していると述べましたが、内定した企業規模を比べてみると、依然として大学間格差が残っていることを確認することができます。企業規模を問わず内定出しが行われていることの証しでもあります。[図表5]は、文系の内定先企業規模を大学クラス別に比べたものです。「旧帝大クラス」では、「5,001名以上」の超大手企業からの内定を取得した学生が最も多く55%、次いで「1,001~5,000名」からが40%にも上ります。「早慶クラス」も「1,001~5,000名」からが54%、次いで「5,001名以上」からが51%で続きます。
[図表6]は、理系について同様に比較したグラフで、文系と同様の傾向が見て取れます。