昨年度の人事イベント動員数No.1。日本中の人事部が認めた日本最大級の人事フォーラム・カンファレンス HRサミット2015

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Vol.6

Vol.6

経営人材のグローバルタレントマネジメント人材マネジメントの変革に取り組んできた15年の成果とは

日産自動車株式会社 人事本部 副本部長
奈良崎 修二氏

かつては、海外進出後も日本人中心の人材マネジメントだった

貴社では、経営を担うハイポテンシャル人材を対象としたタレントマネジメントに取り組まれているとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか。

大きな転換点は1999年3月に、当時、経営が危機的な状況にあった当社がフランスの自動車会社ルノーとアライアンスを結んだことです。カルロス・ゴーンが経営者としてルノーからこちらに参りまして、日産リバイバルプランを掲げ、いろいろな社内のプロセスや仕組みを刷新するということになり、人材マネジメントも大きく変えてきました。

何が変わったかというと、当時、当社では海外と国内の事業の比率はおおよそ海外が50%強、国内が40%強でした。もともと日本の自動車メーカーは、戦後、国産の自動車をつくるところから発展してきましたので、最初はみんな日本の市場で戦っていたわけですが、だんだん海外に輸出するようになり、力をつけてきて、自動車摩擦の問題が欧米で起きたのが1980年代初頭のころでした。そのころから、今後は日本で生産して輸出するのではなく現地生産をしていくということで、当社も80年代の中盤ぐらいから海外生産を本格的にスタートしていったのですが、そこから90年代終盤にかけては、残念ながら経営がうまくいかない時期が続きました。

そのときにも海外生産、海外事業はやっていましたが、当時は日本人が日本流のマネジメントで、現地の人材を使って海外事業をオペレーションしていくという、日本人中心のマネジメントでした。人材管理も日本人中心だったわけです。

「経営戦略に貢献するグローバルな人事機能」へ転換したきっかけ

海外進出する日本の企業は、当初は日本人中心でスタートして、現地採用した人材の育成や活用などは後から始められるケースが一般的ですね。

ただ、当時は自動車市場がグローバル化してきて、特に新興国が大きなポテンシャルを持っているとみんなが戦略的に考え始めたころでした。そうすると、当然、現地に出ていって、現地で自動車をつくり、売っていくビジネスモデルになりますが、当たり前ですが、特に新興国だと生活慣習も文化も好みも違いますから、現地の人材でないとわからないことがたくさんあります。現地の人材をどうやって活用していくのかということは、実は大きなテーマであったはずなのですが、なかなかそれに90年代の日産は取り組めていませんでした。

そこにやって来たのがゴーンです。彼は外国人ですから、日本人中心のマネジメントという感覚は全くありません。彼にしてみれば、日本の日産の人間であろうが、アメリカの日産の人間であろうが、優秀な人はどんどん活用したいわけで、だんだんそういうふうにガラっと変わってきました。人事機能に対しても、日本だけを見ているのではなく、グローバルな人事機能として経営戦略に貢献するべきであるということをかなり強く要望しまして、我々はそれを受けてプロセスを変え、仕組みを変え、いろいろな取り組みをやってきました。そのひとつとして、将来のリーダー候補のタレントマネジメントにも取り組んできたということです。

トップ経営陣にも海外現地法人出身の外国人

当時に比べて、人材マネジメントがどのように変わってきたのですか?

現在は、日本の日産に採用された、いわゆる本社採用の人間だろうが、海外の現地法人採用の人間だろうが、全く区別なく同じように扱われるプロセスをつくりあげています。ルノーとアライアンスを結んで15年経ちますが、もちろん最初からそういうことができたわけではなく、海外の人材の中から非常に優秀な人材を早期に見出して、チャレンジングなアサインをして、成果を出した人材をまたプロモーションしていくというプロセスを積み上げてきました。

その結果として、現在、当社のトップマネジメントチームは副社長以上がゴーンを含めた10人ですが、半分の5人は外国人です。この内2人は、日産の海外現地法人出身です。1人は日産の英国工場にいた人ですが、日産でのキャリアが25年ほどになると思います。もう一人はスペインの日産の販売会社からキャリアをスタートさせて、メキシコの事業会社の社長、アメリカの販売のトップをやって、いま日本の本体の副社長に就いています。また海外現地法人出身の執行役員も数名います。

これまでの取り組みの成果が出ているのですね。具体的な仕組みとしては、どのようなものをつくってこられたのでしょうか。

ひとつはNAC(Nomination Advisory Council)という会議体で、これは言ってみれば、経営レベルで論議する人材委員会です。ゴーンが来てすぐ、そういう会議体をきちんと持って人材のマネジメントをしていくんだということで、その意向を受けてつくりました。それまでの当社の人材マネジメントは、それぞれの部門ごと、あるいはリージョンごとに独立して行っていて、その中でしか人材が育っていない、優秀な人材がどこにいるのか会社として把握できないような状況でした。そこで、特に経営の中枢を担うようなリーダーになるポテンシャルを持つ人材は会社全体の資産であるというように考え方を変え、そういう人たちのキャリアや就くべきポジションについては、コーポレートレベルの責任者がこういう場で議論をして決めていく仕組みにしました。

インタビューはまだ続きます。

「機能別組織の中だけでの人材育成では、経営人材が育たない」など、
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HRサミット2015/経営プロサミット2015での講演情報

日産自動車株式会社 人事本部 副本部長(グローバル人財開発部担当)
奈良崎 修二 氏

1980年日産自動車入社、主にものづくり部門(生産、R&D)、本社部門で人事管理業務にあたる。さらに、生産管理部門、新工場建設プロジェクト、経営企画などの業務に従事し、1998年から経営企画室でルノー社との資本提携交渉に参加、ルノー社との提携後はアライアンス事業の各種プロジェクトなどを担当。2002年R&D人事総務部長、2003年からエグゼクティブ・キャリアコーチを務め、経営トップの人事アドバイザーとして、グローバル日産の主要ポストの異動、任免、後継者計画、幹部候補人財の育成に従事。2012年より現職。