昨年度の人事イベント動員数No.1。日本中の人事部が認めた日本最大級の人事フォーラム・カンファレンス HRサミット2015

昨年度の人事イベント動員数No.1。日本中の人事部が認めた日本最大級の人事フォーラム・カンファレンス HRサミット2015

  • HRプロへ
【HRサミット2016】 日本最大級の人事フォーラム 5月11日・12日・13日開催!申込受付はこちらから!

Vol.1

Vol.2

いま考えておきたい「企業年金・退職金」のあり方新たな時代における企業年金・退職金の価値とその向上

株式会社IICパートナーズ
代表取締役社長 中村 淳一郎 氏

企業年金・退職金の「パフォーマンス」を考えるべき時

日本の企業年金・退職金の制度について、どのような意見を持っていますか?

私が特に課題として感じているのは、企業年金・退職金に関して、「コストやリスク」の話ばかりがクローズアップされるケースが多いことです。コストやリスクだけでなく、「パフォーマンス」も極めて重要なはずなのに、その部分への注目度が低いことに危機感を抱いています。

実際に、企業年金・退職金のことを経営者や人事担当者の方に聞いても、「難しい」とか「よく分からない」という回答が多いのです。従業員の方に聞けば、さらにその度合いは高まるでしょう。ということは、企業年金・退職金の「パフォーマンス」についても「分からない」あるいは「十分ではない」ということになります。確かに、企業年金・退職金は、負の遺産とも言われてきましたが、医療、介護、建設、IT業界などを中心に、人員余剰から人手不足の状況へ転じていることなどを考えると、新しいフェーズに合った企業年金・退職金の捉え方を考えるべき時に来ていると思います。

問題は「見合う効果」が実現できていないこと

コストやリスクというのは理解されると思いますが、パフォーマンスとはどのような意味と受け取ればいいでしょうか?

ひとことで言うと、パフォーマンスとは「目的の達成度」です。例えば、企業年金・退職金を設けた目的について人事担当者にアンケートを取ったところ、7〜8割の方が「従業員のモチベーションの向上」、「優秀な人材の採用・維持と定着」という項目にYESの回答をしています。

もちろん、会社によって目的はいろいろだと思います。重要なことは、自社にとっての目的が何なのかを明確にすることです。そうした目的の達成度がパフォーマンスと言えます。

その目的が達成されていないところに、問題があるということですね。

退職給付費用と呼ばれる「会計上の企業年金・退職金のコスト」は、ある統計データによると、従業員1名につき、年間50万円から70万円くらいかかっています。従業員の平均年収を 500 万円とすると、約 10%に相当する水準です。それだけ大きな金額が動いているにもかかわらず、それに見合った効果を生むことができているか、という点は疑問です。 自分が勤めている会社の企業年金・退職金について、熟知している従業員はほとんどいないでしょう。企業年金・退職金がないと思っている従業員すらいるかもしれません。それでは、パフォーマンスはゼロと言ってもいいでしょう。もう少し言えば、そもそも目的やその達成度があまり意識されておらず、企業年金・退職金の位置付けがボヤっとしていることが問題ではないかと思います。

大事なのは、ふさわしいあり方を考え、従業員にきちんと伝えること

これまでの企業年金・退職金に対する考え方を大きく変える必要があるということですか?

企業年金・退職金のコストやリスクをマネジメントするだけではなく、パフォーマンスを大きくする方向にシフトする考え方もあっていい。老後所得の確保というところに留まらず、その先にある人事戦略上の目的を明確にして、その目的達成度を向上させることを考えてはどうか、ということです。

「企業年金・退職金の価値」という観点で見るならば、分母がコストやリスク、分子がパフォーマンスです。分子が大きくなれば、分母についても許容度が上がり、大きくすることも可能となります。そうすれば自ずと、コストやリスクの削減ばかりに目を向け、企業年金・退職金を縮小し、モチベーションや定着率を不用意に下げてしまう事態を避けることができるはずです。

そのパフォーマンスを上げていくためには、どのようにすればいいですか?

まず大事なのは、しっかりと企業年金・退職金の金額やメッセージを従業員に伝えることです。簡単に言うと、「当社で定年まで勤めたら、これだけの退職金が出ます」というメッセージを発信すれば、従業員も「今は辛いけれども、もう少し頑張ろう」という意識が芽生えるかもしれません。また、長期的に会社が存続できるよう、新しいビジネスの開発に取り組もうとする意識が高まる可能性もあるはずです。 さらに、企業年金・退職金の目的に応じて、会社としてのメッセージを制度に反映させていくことも大事です。例えば、従業員のモチベーション向上や企業の業績を伸ばすことに主眼を置いているならば、成果に応じたポイントを重視するよう設計したポイント制を導入することが考えられます。 各企業によって異なる目的をはっきりとさせ、それに見合った企業年金・退職金のあり方を考え、伝えていくことが重要です。

インタビューはまだ続きます。

「4つの柱を軸にしたコンサルティングの中身」など、
気になる内容の続きはこちらよりダウンロードしてください。

続きをダウンロード

HRサミット2015/経営プロサミット2015での講演情報

株式会社IICパートナーズ
代表取締役社長
中村 淳一郎氏

1996年早大商学部卒。(現)有限責任監査法人トーマツを経て、現職。退職給付会計関連コンサルティング実務と監査実務の経験に基づいた「本質をつく解説」と「体系的に整理した資料」に定評。IFRS対応退職給付会計講座(アビタス社)など講演回数150回超。「週刊経営財務」、「CFO FORUM」等で執筆。公認会計士、DCアドバイザー、日本アクチュアリー会研究会員。