「アクションラーニング」とは、参加者がチームを組んで、組織における現実の課題に対する解決策を考え、実行していくことで、個人・組織の学習する力を向上させる学習法。欧米では50 年以上の歴史があり、日本でも、現在では企業の若手ハイポテンシャル人材やエグゼクティブ人材などの能力開発を目的とした研修でよく導入されるプログラムとなっています。

過去の事例や架空の事例を対象とするケーススタディと比べると、いま、現実に進行している課題を扱うアクションラーニングは、変化が速い時代において予測しにくい課題への対応力強化が狙える手法です。さらに、チーム討議で導き出した課題の解決策をメンバーが組織に持ち帰って実行し、次回のセッションでその報告、振り返りを行い、新たな解決策を討議するというプロセスをスパイラルに踏んでいくため、戦略策定だけで終わらず、それを自らアクションへと展開する力を向上させることにつながります。組織で実際に成果を出せるリーダー人材を求める、いまの企業のニーズに合致した学習法だといえるでしょう。

アクションラーニングの効果は、チーム学習を通じた個人の能力開発と同時に、直面している組織の課題を解決に導き、成果を生み出せること。そして、学習する組織の基礎をつくり、組織変革や組織活性化の足がかりをつかめること。一石三鳥の効果を期待できることが、多くの企業、経営者からアクションラーニングが注目される大きな理由です。組織横断的なテーマ設定とチームメンバーの選抜を行えば、アクションラーニングの効果を社内で広範囲に浸透させていくことも可能です。

また、アクションラーニングでは、チーム討議の中でアクションラーニングコーチ(学習コーチ)が振り返りを促す質問を多様な角度から行い、チーム学習をサポートしますが、このアクションラーニングコーチのスキルは、まさに今の時代に求められるリーダーのスキルといえます。上意下達で組織を引っ張った過去の時代のリーダーから、チームメンバーの考えを聞き、学びと成長を促し、チームの力を引き出すリーダーへと、企業が求めるリーダー像は変化しています。新しい時代のリーダーシップ開発手法としても、アクションラーニングへの期待は高まってきています。