「ラポール」とは、心理学の用語で、主にセラピストとクライエントの相互の信頼関係のことで、フランス語で「橋を架ける」という意味から、心が通じ合い、互いに信頼しあい、相手を受け入れていることを表します。カウンセリングをするうえで、最も重要な、コミュニケーションスキルの1つです。最近ではカウンセリングなどにとどまらず、ビジネス、家庭などの人間関係構築・改善のために用いられることもよくあります。
互いの良好な関係を作るために、ラポールを築くことが大切で、まずラポールを形成しないと、クライエントも心を開いて悩みを打ち明けられず、問題解決に導くことができません。ビジネス、会社内、家庭内においても、ラポールを築くことで関係性が良好になります。
ラポール形成のための代表的なテクニックの1つとして、「ミラーリング」が挙げられます。これは、相手のしぐさや姿勢などを鏡に映しているかのように真似るテクニックです。例えば、ラポールを築きたい人とあなたがカフェでコーヒーを飲みながら話している場合は相手がコーヒーを飲み始めたら、こちらもコーヒーを飲むといったことが挙げられます。私たちは、無意識に自分に似た相手に対して、安心感や親近感を覚えます。相手が無意識的に、あなたを自分と似た存在であると認識することで、相手の警戒心を解き、好意や安心感を与えることができます。
他には、相手の話し方やリズムに合わせるペーシング、相手の心理状態を言葉以外のサインで認識するキャリブレーション、相手の言葉をオウム返しで言うバックトラッキングなどがラポール形成においてのテクニックにあります。
ラポールを築くためのポイントとしては、相手をよく観察し、相手との共通点を見つけ、相手の考え方や性格などを否定せずに受け入れることが挙げられます。視覚に訴える方がいいか、聴覚に訴える方がいいか、触覚に訴える方がいいか、タイプ別に使うテクニックや対応方法が変わってきます。
いずれも相手に安心して心を開いてもらうために使う基本的なテクニックですが、やりすぎるとかえって、不信感を抱き、ラポールを築くことができなくなります。人は、ネガティブな感情が生まれると、信頼をすることができません。相手のフィールド=世界を尊重し、相手の世界を理解したいという気持ちのもとに行わなければなりません。相手の世界を尊重することは、コミュニケーションの根本条件であり、ラポールテクニックを用いるときも、この前提を大切にすることが大変重要です。