「ROI」とは、return on investmentの略で、「投資利益率」「投資収益率」などと訳されます。
投資に対して得られる利益の割合を示す数字で「ROI=利益÷投資額×100」で求めます。

この数字が大きいほど費用対効果の高い投資案件ということになります。企業の収益性などを評価する際に用いられる指標ですが、個別のプロジェクトにおける費用対効果の判断材料としても活用されています。

近年、高まっているのが人材教育におけるROI測定ニーズです。研修を実施することで、社員がどのような知識やスキルを身につけ、業績にどのような影響が出たのか──、本来、客観的な指標によって検証し、効果が高い研修にはさらに投資を、効果がない研修は廃止するといった判断がなされてしかるべきです。しかし、かつての経済が拡大を続けた時代には、社員教育の効果について、あまり問題にされませんでした。

人材教育が必要な投資であることは言うまでもありません。しかし、国際化の進展、少子高齢化・人口減少社会の到来などにより、経営環境は厳しさを増しています。人材教育の予算も削減せざるを得ない状況です。

できるだけ少ない予算で、できるだけ効果的な教育を実施したい──投資できる資本が限られている以上、その使い方がシビアになるのは、当然といえば当然です。その判断のための客観的な指標となるのがROIというわけです。

人材教育におけるROIを測定するためには、それぞれの教育研修の目的を明確にすることが必要です。目標が明確になれば、その達成状況を示す指標や基準を設定することができるからです。たとえば英語の研修であれば受講者からTOEIC何点以上の者を何人出すとか、受講者の平均点を何点以上にするなどの目標が考えられます。いずれにしても、今後、人材教育の費用対効果について、今まで以上に厳しい目が向けられるのは確かです。人材教育のROIについて考えてみてはどうでしょうか。