ラーニングエージェンシーは2019年4月23日、2019年度入社の新入社員を対象に意識調査を実施し、集計結果を発表した。同社が東京、横浜、名古屋、大阪で開催している新入社員研修の受講者5673名が調査対象。調査期間は2019年4月2日~4月11日。
この調査は2014年度から毎年実施しているもの。今年度の調査では、「今の会社で働き続けたい」という回答が4年連続で減少し、会社に定着する意思がどんどん希薄になっていることが明らかになったほか、仕事を通して成し遂げたいこととして「自己成長」を挙げる回答が、調査開始以来、初めて最多となった。
まず、新卒で就職した会社で働き続ける意向について質問し、「できれば今の会社で働き続けたい」という回答が50.4%となった。この値は2016年度調査(62.0%)から4年連続で減少しており、ついにほぼ半数まで下がってしまった。
一方で回答数を増やしているのが、「そのうち転職したい」という回答で、今年度は18.4%に達した。この値は2016年度調査から4年連続で増加している。終身雇用制度が事実上崩壊していることや、深刻化する一方の人手不足を背景とした人材の売り手市場などを見て、いずれは良い条件、良い労働環境を求めて転職したいと考える新入社員が増えていると考えられる。
続いて、今後取り組みたい仕事について尋ねている。その結果「楽しくてやりがいのある仕事」(67%)と、「自身の成長につながる仕事」(49.8%)が、ほかの選択肢を大きく引き離してトップ2となった。ラーニングブリッジはこの結果を受けて、「今年度の新入社員は仕事をしていく中で『楽しさ』や『自己成長』を重視する傾向がある」と見ている。一方で、「すべての仕事が楽しくてやりがいのあるものとは限らない」と指摘し、「日々の何気ない業務にも 目的やゴールがあり、取り組んでいけば成長できるということを管理職が丁寧に説明することがより重要になっている」と、企業に向けてアドバイスを送っている。
そして、仕事を通して成し遂げたいことについては「自分を成長させたい」(58.3%)という回答が最も多くいという結果になった。この調査の開始以来「安定した生活を送りたい」が1位の座を維持していたが、今年度は54.6%で2位となった。3位は「家族に恩返しをしたい」で48.3%だ。
将来、会社でどのような道に進みたいかという設問に対しては、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい」が36.4%でトップとなった。管理職を目指す「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい」は27.1%で2位。管理職よりも専門家を目指す傾向は、調査開始以来変わっていない。そして、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」(22.3%)、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」(21.3%)と、将来について特に決めていないという回答が調査開始以来増加傾向にあることも分かった。
どんな上司の下で働いたら、自分のキャリアアップにつながると思うかを聞いたところ、「優しく指導をする上司」(42.1%)がトップ。続いて「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」(40.5%)が2位だった。3位は「リーダーシップのある上司」だったが、その割合は35.8%と、上位2項目と比べると低いという結果になった。
この結果についてラーニングエージェンシーは、直前の質問で将来について特に決めていないと回答した新入社員が増加している点を挙げ、売り手市場の就職活動で自己分析や業界研究を十分にしないまま入社した新入社員が増えたことが影響している可能性を指摘している。
そして、今後3年間に働き方についての設問では、「定時に帰りたい」という回答が42.3%で最多。しかも、この回答は調査開始以来増加を続けている。ラーニングエージェンシーは、「働き方改革」に向かう流れを考えると、この傾向はさらに強まる可能性があると解説している。
加えて、必要であれば休日でも出社すべきと思うかを尋ねたところ、「あまり前向きではないが、必要ならば出社すべきだと思う」(52.9%)が、調査開始から維持していたトップの座を守るという結果になった。そして「休日に出社すべきではないと思う」(22.9%)が、ほかの選択肢が年々割合を下げているにもかかわらず、着実に増加を続けているということも分かった。
ラーニングエージェンシーは、以上の結果から仕事とプライベートの切り替えを重視する新入写真が増加していると指摘。企業は、このような新入社員の意識の変化をしっかり理解する必要があると解説している。