このようなレクリエーションには、怪我がついてまわる。スポーツ大会等では、普段運動しない社員が体を動かし、思わぬ怪我を負うこともあるだろう。毎年、社内運動会を開催し、そのたびに怪我の大小はあるが、怪我人が出ている企業もあるようだ。また懇親会などでは、参加した帰り道、酔って転倒し、負傷することもある。
では、このような企業主催のレクリエーション中、後の事故は労働災害となるだろうか。
歓送迎会が業務の一環と認定される場合も・・・!
■レクリエーション中の事故まず、レクリエーション中の事故についてはどうか。
業務災害と認められるには、従業員が使用者の指揮命令下にあり(業務遂行性)、従業員の受けた被害が業務に起因するものである(業務起因性)ことが求められる。
つまり、行われるレクリエーションが業務であるかが問題となる。
業務かどうかの認定は、開催の経緯・主催者・費用負担・参加の強制等の要素によって総合的に判断される。
スポーツ大会等の参加を、企業が義務付け、費用負担を行い、参加しない場合に欠勤扱いとしているようなことがあれば、業務上と認められるのではないかと考えられる。
では、懇親会・歓送迎会のようなお酒が飲まれる場合はどうか。
判例上、懇親会、歓送迎会を業務上と判断したものは少ないように感じる。
しかし、最近では、最高裁により歓送迎会を業務の一環と認定する判断も出されている。
こちらも、参加を強制した等、一定の場合には業務上と認められる可能性はあると思われる。
■レクリエーション後の事故
次にレクリエーション後の事故については、通勤災害となるかが問題になる。
労働者災害補償保険法では、通勤を、就業に関し、
①住居と就業の場所との間の往復
②就業の場所から他の就業の場所への移動
③住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
を合理的な経路及び方法により行うこと、とされている。
「就業に関し」とは、業務につくため又は業務が終了したために行われるものであるこという。
レクリエーションが業務である場合には、終了後の住居への移動は通勤であると判断することができると考えられ、その間の事故は、通勤災害と認定される可能性は出てくる。
終わりに
冒頭で書いたように、怪我人が出ても毎年のように社内運動会を実施しているところも存在する。毎年行っているのは、従業員同士のコミュニケーション促進や一体感の醸成など、目に見えないメリットが大きいためだろう。しかし、業務上と認定された場合、企業が安全配慮義務違反を課せられる等のリスクも存在する。得られるメリットだけでなく、どの様なリスクが伴うかも考えておいたほうが良いのではないだろうか。社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭