株式会社NEWONEは2024年6月6日、若手~中堅層の会社員を対象に実施した「仕事・職場に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は2023年12月22日~23日で、20代~40代の会社員618人から回答を得ている。調査結果から、「キャリア自律」や「ワークエンゲージメント」、「離職リスク」の相関性が明らかになった。
キャリア自律をしている人ほど“離職リスク”は低い? 「キャリア自律」と「ワークエンゲージメント」、「離職傾向」の相関を調査

“キャリア自律層”は、していない人に比べて自身の職場の推奨度が約3~4倍高い

日本社会における構造的な人手不足は、多くの企業を悩ませる喫緊の課題だ。各社が人材確保に励む中で、離職率を低下させることもその一つの取り組みだ。現代では、働く人の企業選びの軸も変わりつつあり、企業としては自社の従業員のキャリア観・仕事観に目を向けることが非常に重要になっている。働く人の「キャリア自律」や「ワークエンゲージメント」、「離職リスク」にはどのような関係があるのだろうか。

はじめにNEWONEは、「キャリア自律」と「自身の職場の推奨度」との相関性を調査している。すると、キャリアに関心があり「自身の職場を他者に推奨できる」と回答した人は42%であるのに対し、関心がない人は11%だった。また、「キャリアの可能性を広げるために行動している」、かつ「自身の職場を他者に推奨できる」と回答した人が全体の47%であった対し、「行動していない」と回答した人は14%と、比較的低い数値になっている。キャリア自律している層は、していない層と比較すると、自身の職場の推奨度が約3~4倍高いようだ。
「キャリア自律」と「自身の職場の推奨度」との相関性

“キャリア自律をしている人”は仕事にポジティブに取り組めている

次に同社は、「キャリア自律」と「ワークエンゲージメント」の相関を調べた。すると、キャリア自律をしている人は仕事に対してポジティブに取り組めていることがわかる結果が得られたという。なお、この傾向は“推せる職場”においてはさらに強まっている。

全職場におけるキャリア自律とワークエンゲージメントの相関

全職場におけるキャリア自律とワークエンゲージメントの相関

“推せる職場”のキャリア自律とワークエンゲージメントの相関

”推せる職場”のキャリア自律とワークエンゲージメントの相関

“キャリア自律している人”ほど離職傾向が低い結果に

続いて同社は、年代別に「離職傾向」について調べている。すると、キャリア自律している人ほど職場の推奨度が高いように、キャリア自律している人ほど離職傾向が比較的低く、現職でキャリアアップできるあいだは離職せずに留まる意向が見られた。いずれの年代においても、キャリア自律していない人の方が“現段階の退職意向”が高い傾向にあることもわかった。

また、20代で“キャリア自律している人”はキャリアを短期目線で捉える傾向にあった。これらの結果について同社は、「現職でキャリアアップできないと感じると離職につながるリスクが高く、若手社員ほど企業側がキャリアアップのイメージを伝えることが重要」であると推測している。
年代別の「離職傾向」

“キャリア自律している人”ほど主体的な仕事の進め方をしている

最後に同社は、「キャリア自律」と「仕事の進め方」の相関について調べている。すると、キャリア自律している人の方が、していない人に比べて「仕事を自分で決めている」という感覚を持っており、主体的に働いている様子が見られたという。また、「キャリア自律」と「仕事の進め方」においては、目標やチーム、キャリアについて自身の意見・意向が提案できることや反映されることと、相関が確認できている。これに対し同社は、「企業側がキャリアアップのイメージを伝えることが重要であるように、個人意識の改革だけでは限界があるため、キャリア自律の促進+キャリアアップできる環境整備をする、企業側の双方の動きが重要」との見解を示している。
「キャリア自律」と「仕事の進め方」の相関
自社の仕事の進め方
本調査結果から、キャリア自律している人は、していない人に比べて自身の職場の推奨度が約3~4倍高いことがわかった。また、ワークエンゲージメントとの高い相関から、仕事をポジティブに捉えている傾向も見て取れた。さらに、キャリア自律をしている人ほど離職リスクが低いようだ。キャリア自律の促進には、「自身で決める実感」や「上司・組織に受け入れてもらっている実感」が重要であることも示唆された。“キャリア自律”は、従業員のエンゲージメント向上や離職率低下に向けた重要な要素となりそうだ。

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