約8割が部下と「対面」でコミュニケーション。ランチ・飲み会の実施も多数に
新入社員をはじめとした若手人材の早期離職は、人手不足に悩む企業にとって喫緊の課題となっている。最近では「退職代行」が話題となるなど、人材の定着や確保の困難さは以前よりも際立っており、特に上司・部下間のコミュニケーションにおいては、その緊張感が増しているのではないだろうか。そうした中、実際に部下を持つ上司は、日ごろどのようなコミュニケーションをとっているのだろうか。はじめにアシロが、「部下とのコミュニケーションでよく使用する手段」を尋ねると、トップの「対面」が80.3%で、「チャットツール」や「メール」、「電話」などの他回答と大きく差をつけていた。
また、「部下とのランチや飲み会の機会はあるか?」と尋ねると、「よくある(週に1回以上)」が9.3%、「たまにある(月に数回)」が23.2%、「あまりない(年に数回)」が40.8%となった。これらを合計すると、73.3%の上司が頻度を問わず部下との飲み会やランチを実施していることがわかった。
約4割が「部下との円滑なコミュニケーション」に課題
次に同社は、「部下とのコミュニケーションが円滑に行われていると感じるか?」と尋ねた。すると、過半数となる60.3%が「感じる」と回答した。しかし、「感じない」(39.7%)との回答に目を向けると、約4割が部下とのコミュニケーションに何らかの課題を感じている実態が見て取れた。同回答の理由を聞いたところ、最多となる407人が「話す機会が少ない」と回答し、次いで385人が「考え方・常識が違う」と答えた。同社はこれに対し、「価値観やジェネレーションギャップなどが原因となり、コミュニケーションに課題が生じているケースが考えられる」としている。
「部下に不満がある」とする上司は約8割に。「やる気」や「熱意」への不満が多数
続いて同社が、「部下に不満はあるか?」と尋ねると、「かなりある」が10.3%、「ややある」が26.9%、「多少ある」が42.7%となった。これらを合わせると、79.9%の上司が部下に対して何らかの不満を感じていることがわかった。「不満がある」とした人に対し、具体的に「どんな不満があるか?」と尋ねたところ、「やる気/熱意がない」が最多で560人、次いで「言われたことしかできない」が518人となった。
「話す機会を設ける」や「やんわり指摘」などの対処。悩みを一人で抱える人も多く
次に同社は、「部下への不満がある」とした人に対し、「不満がある場合、どう対応するか?」と尋ねている。すると、747人が「話す機会を設ける」と回答して最多となったほか、「やんわり指摘する」も711人と、この2回答が700人を超えて多数となった。この結果に対して同社は、「メンタル面への悪影響やハラスメントを懸念して毅然とした対応や行動に移れないケースがある」との見解を示している。また、全体に対して「部下への対応に困ったとき、だれに相談するか?」と尋ねると、1,058人が「上司・先輩」と回答し、次いで970人が「近い間柄の同僚」と回答した。他方で、「誰にも相談していない」との回答も538人と一定数いることから、多くの上司が部下とのコミュニケーションの悩みを一人で抱えている現状がうかがえる。
「部下に対して気をつけていること」として多数の回答。気を遣っている様子が浮き彫りに
最後に同社は、全体に対し「部下と接する際、どんなことに気をつけているか?」と尋ねた。すると、1,068人が「感情的にならない」、1,054人が「こまめにコミュニケーションをとる」と回答した。他方で、「意見を押しつけない」、「部下の話をよく聞く」との回答も多く、上司が部下に対して気を遣っている様子もうかがえる結果となった。なお、複数選択式であった同質問に対し、回答件数が6,479件(回答者:2,432人)にのぼっており、平均すると、「部下と接する際に気をつけていること」として一人あたり2.6項目を選択していることがわかったという。
調査の出典:ベンナビ労働問題(株式会社アシロ)