2023年の正社員平均初年度年収は「456.6万円」。コロナ禍前の2019年と比べ増加傾向に
個々人の希望に合わせ能動的に職場を選択できるようになりつつある昨今、企業の人手不足感はさらに高まっていくと見られる。賃金待遇の改善やキャリアップのための転職を考える人も増えると予想されるが、未経験者と経験者では、平均初年度年収や求人件数にどのような違いがあるのだろうか。はじめにマイナビは、「正社員の平均初年度年収」を調べ、未経験者と経験者で比較した。すると、2023年平均では「全体」が456.6万円、「未経験者求人」が426.8万円、「経験者求人」が518.3万円だった。
また、2022年平均と比較すると、全体では「2.4万円増」、未経験者求人では「3.1万円増」、経験者求人では「4.1万円増」となった。正社員求人における初年度年収は、コロナ禍前の2019年から増加傾向にあることがわかった。
2023年の平均求人件数は「2019年比で147.4%」、「2022年比で15.4ポイント」増加に
続いて同社は「2019年の年間平均を100%とした求人件数の推移」をまとめた。すると、2023年の平均求人件数は、2019年平均を基準として147.4%で、2022年平均と比較して15.4ポイント増加した。また、2023年の3ヵ月ごとの平均推移を見ると、2023年は年間を通して求人件数が増加し続けていた。この結果から同社は、「企業の中途採用意欲が高まっており、今後も転職市場は活発に動いていきそうだ」との見解を示している。
そこで、「求人の経験者/未経験者の募集比率」を調べたところ、2023年の未経験者求人は6割超で、経験者求人は約3割だったという。2022年平均と比べると、未経験者求人の比率が微増したとのことだ。これを踏まえて同社は、「コロナ禍で2020年以降未経験者求人を取りやめる企業が増加した影響はいまだ残っていると考えられるが、未経験者求人比率には復調の兆しが見える」とコメントしている。
平均初年度年収が高かった業種1位は「IT・通信・インターネット」で518.4万円
次に同社が「正社員の平均初年度年収が高かった業種ランキング」を調査したところ、1位が「IT・通信・インターネット」で518.4万円(前年(2022年)差+4.6万円)、2位が「金融・保険」で516.1万円(前年差+14.4万円)、3位が「コンサルティング」で501.5万円(前年差+8.1万円)だった。そこで、未経験者求人(職種・業種ともに未経験で応募可能の求人)のみに絞ったところ、1位が「IT・通信・インターネット」、2位が「不動産・建設・設備」、3位が「コンサルティング」となった。いずれも2023年の平均初年度年収は500万円弱、前年差は5万円~7万円となったとのことだ。
未経験者募集求人の比率が高かった業種は「運輸・交通・物流・倉庫」。2024年問題への対策か
さらに、同社が「2023年年間平均で『未経験者募集求人』の比率が高かった業種」をまとめたところ、1位が「運輸・交通・物流・倉庫」で84.4%だった。続いて、2位が「サービス・レジャー」で82.7%、3位が「環境・エネルギー」で81.9%となった。これを受けて同社は、「運輸・物流業界では『物流の2024年問題』(2024年4月から時間外労働の上限が960時間に制限され、労働力不足が予想されている問題)が懸念されることから、運輸・交通・物流・倉庫業界では未経験者の募集を積極的にすることで、問題への対応を図っている」と推察している。
一方、経験者募集求人の比率が高かった業種ランキングは、1位が「IT・通信・インターネット」、2位が「メーカー」、3位が「金融・保険」だったとのことだ。