2024年の“賃上げ額”は「1万1,399円」、“賃上げ率”は「3.66%」に
日本経済は、コロナ禍からの経済活動正常化に伴い約30年ぶりに賃上げが実現するなど、停滞から成長へ移行する大転換期を迎えている。そのような中、2024年の賃上げはどのような見通しとなるのだろうか。なお、同研究所は賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、1974年から毎年本調査を実施している。はじめに同研究所は、東証プライム上場クラスの一般的水準(定期昇給込み)を基にした「2024年の賃上げ見通し」(主要企業賃上げ額・率は厚生労働省調べ)を調査した。すると、全回答者478名の平均の「賃上げ予想額」は「1万1,399円」だった。また、「賃上げ予想率」は「3.66%」で、2023年実績並みの水準となる見通しだ。
労使別に平均値をみると、「労働側」が「平均賃上げ予想額:1万1,941円・賃上げ予想率:3.85%」、「経営側」が「同1万1,052円・同3.54%」だった。労働側が、経営側を賃上げ予想額で「889円」、賃上げ予想率で「0.31ポイント」上回る結果となった。
定期昇給は労使ともに「実施」が約9割に。ベースアップの実施意向も強く
続いて、同研究所が「自社における2024年定昇・ベアの実施意向と検討状況」を聞いたところ、「2024年の定期昇給(定昇)」については、労働側は「実施すべき」が88.5%、経営側は「実施する予定」が89.8%で、労使ともに「実施」とする回答が約9割と大半を占めた。また、ベースアップ(ベア)については、労働側は「実施すべき」が91.8%と9割を超えた。一方、経営側は「実施する予定」が48.4%で、「実施しない予定」の21.9%を大きく上回る結果となった。
2024年春季交渉で課題・焦点となる人事施策は労使ともに「人材の採用・確保」がトップ
最後に同研究所は、“賃上げ以外で24年春季交渉において課題・焦点になると思われる人事施策6項目”を挙げ、それぞれについて交渉で「話し合う予定があるか」を労働側・経営側に尋ねた。「交渉で話し合う予定」の割合をみると、労働側では「人材の採用・確保」(41.3%)が最も多く、以下、「諸手当の見直し」(34.7%)、「時間外労働の削減・抑制」(31%)と続いた。対して経営側では、全項目において「交渉で話し合う予定」の割合が労働側より少ないものの、労働側と同様に「人材の採用・確保」(19.1%)が最多で、続いて「時間外労働の削減・抑制」(15.4%)、「諸手当の見直し」(14%)となった。