これによって税と社会保障が一元管理されることで、社会保険加入に関する監視の目は厳しくなることが予想される(弊所でも、社会保険新規適用の依頼が急増した)。
実際の現場ではいわゆる「社会保険に加入させたくない」会社側と「社会保険に加入したくない」労働者側とで「業務委託契約」を結んでいるケースもある。
「雇用契約」と「業務委託契約」にはどのような違いがあるのか
まず、「雇用契約」と「業務委託契約」の違いについて、マイナンバー制度開始を機に改めて整理する。「雇用契約」とは、「働くこと」と引き換えに報酬を与えることを約束する契約であり、
雇用契約を結んだ場合、働く人は「労働者」となり、労働基準法が適用され、労災保険、雇用保険、社会保険の加入対象となる。
「業務委託契約」とは、一方が特定の仕事を処理し、「処理された仕事」と引き換えに相手方が報酬を支払うことを約束する契約であり、業務委託契約の場合、雇用契約のような「使用者」と「労働者」という関係でなく、「独立した事業者同士」という関係になる。
したがって、業務委託契約である場合、「労働者」ではないことから、労働基準法や労災保険等の法律の保護を受けない。
雇用契約と業務委託契約の違いを見極めるポイント
事業主より、「雇用契約から業務委託契約に契約を変更したい」さらには、「一方的に業務委託契約へ変更したいんだけど大丈夫か?」という相談もよくある。
実際、社会保険料の負担は(労使ともども)馬鹿にならないし、気持ちはわからないでもない。
しかし、例え一方的に契約を取り交わしたとしても、雇用契約だろうが業務委託契約であろうが、実態として他の労働者と同様の取扱いをしていると判断された場合は「雇用契約」と見なされるだろう。
業務委託契約を結んでいる場合、上記表を参考にあらためて見直してはどうか。
社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭