人手が充足している企業の半数以上が「賃上げ」を実施
昨今、経済活動や社会生活の正常化が進んでいるが、企業における人手不足感は依然高まり続けているという。そうした人手不足の要因には、どういった課題があるのだろうか。まず、帝国データバンクは「人手が不足していない要因」を尋ねた。すると、「賃金や賞与の引上げ」が51.7%で最多だった。以下、「働きやすい環境づくり」が35%、「定年延長やシニアの再雇用」が31.2%で続いた。自由回答では、「既存社員のベースアップのほか、有料採用サイトを利用しつつ、入社時の初任給を年収ベースで約50万円上げた。それだけで応募件数が変わってきた」や、「時間外勤務の抑制や有給休暇の取得率向上に力を入れて、従業員の定着と採用促進に対応している」といった声が寄せられたという。
「応募がない」、「業界の人気がない」など採用の困難さが人手不足の一因か
一方で同社は、「人手が不足している要因」についても尋ねた。すると、「条件に見合った人材から応募がない」が54.6%で最も多かった。特に、即戦力を求める中小企業ではこの回答率が高かったといい、採用に苦慮している状況がうかがえる。以下、「業界の人気がない」が45.4%、「企業の知名度が低い」が42.2%、「労働環境が厳しいと受け止められる」が37.2%で続いた。ほかにも、「時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」が13.8%と1割以上だった。国が進める政策が人材不足の原因となっていると感じる企業も少なからず存在した。
自由回答では、「人気のない職業であるため、中途採用で求人を出しても若手からの応募がない。新卒採用はそもそも応募がなく諦めている」や、「中小企業は、正規・非正規ともに賃金を上げられないため人手が集まらず困っている」といった声が寄せられたという。