4割以上が人的資本の情報開示について「準備が整っている」と回答
人的資本の可視化を通じた人的投資の推進に向け、政府は企業の取り組みの明確化を前提とし、「多様性」や「エンゲージメント」といった19項目の人的資本の情報開示を求めていく方針を示している。こうした人的資本の情報開示に向けた動きが加速するなか、企業における取り組みの進捗度はどうなのだろうか。Hajimariはまず、「勤務先の人的資本の開示に向けた状況」を尋ねた。すると、「開示準備が整っている」が41.7%で最多だった。以下、「既に開示している」が31.5%、「開示準備をしている最中」が14.8%、「開示準備に着手できていない」が4.6%と続いた。また同社が、「開示準備に着手できていない」との回答者に「今後の意向」を尋ねたところ、6割が「開示を進める意向がある」と回答したという。大企業においては、人的資本の情報開示への動きが加速していることがうかがえる。
情報開示に向けた検討事項は「社内環境の整備」、「開示事項に応じた具体的内容」など
次に同社は、人的資本の情報開示の準備が「整っている」または「準備をしている最中」との回答者に「勤務先での人的資本の情報開示に向けての準備内容」を尋ねた。すると、「人的資本に関する社内環境整備の方針を検討」(57.4%)、「開示事項に応じた個別事項の具体的な内容を検討」(55.7%)、「ガバナンスや戦略に沿った開示内容を検討」(50.8%)の3項目がいずれも5割を超えた。また、自由回答では、「経験者の人材の確保」や「個性を生かした教育と実践のアピール」などといった声があがったという。
約8割が「人的資本情報開示の必要性」を実感か
続いて、「人的資本開示の必要性を感じているか」を同社が尋ねると、「非常に感じている」(28.7%)と「やや感じている」(50.9%)の回答が計79.6%となった。約8割が人的資本情報開示の必要性を感じていることがわかった。情報開示後の、人的資本の活用・改善施策は「エンゲージメント等のサーベイ」が最多に
また同社が、「開示後の、人的資本の『活用・改善』について準備をしているか」と尋ねると、9割以上が「準備をしている」と回答したという。この結果を受け同社は、「準備をしている」との回答者に、「今後(人的資本の)活用・改善のために取り組んでいく予定のある施策」について尋ねた。すると、「エンゲージメント等のサーベイ」が75%で最多だった。以下、「育成/研修制度の充実」(65.6%)、「有給取得率や研修受講率の改善」(56.2%)、「人員の配置転換」(53.1%)と続いた。
社員研修の課題は「上司の育成の育成能力・指導意識不足」との回答が最多に
次に同社が、「勤務先では、人事部主導で定期的な社員研修を行っているか」と尋ねたところ、「週に2回以上」、「週に1回」、「月に1回」との回答の合計が6割にのぼったという。さらに、「定期的な教育や研修での具体的な課題」を尋ねると、「上司の育成能力や指導意識が不足している」が38%で最多だった。以下、「人材育成の効果が見受けられない」(29.6%)、「人材育成に関して社内フローがまとまっていない」(25%)と続いた。6割が月に1回以上社員研修を行っている一方で、上司の育成能力・指導意識不足に課題を感じている企業もあることがわかった。